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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆ss「super scription of date」後編 燐雪+朴

理不尽もこれに極まれりです。




 夕食までと夕食と風呂上りのあとの雪男の家庭教師は深夜零時で打ち切りになった。明日が月曜日で学校があるからだ。燐は布団に潜りこむとすぐさま寝息を立てて熟睡している。しかし雪男は目が冴えてしまって、そのついでに塾の講義のレジュメの確認をしていた。作業も概ね完了し、椅子に座ったまま斜めに振り向いて兄の寝顔を窺う。
「兄さん。愛してる。」
 途端に胸がきゅうっと締め付けられた。雪男はつんとする鼻の奥をから咳で誤魔化す。しかし今度は目の前がぼやけてきた。慌てて指で目じりを拭った。もう一度兄に向かって愛の言葉を吐こうとしたが喉が詰まって声にならない。
 雪男に言葉を吐かせまいとするように携帯が鳴る。
 こんな時間に誰だろうと雪男は深く考えずに電話を取った。
『あ。私です。朴です。少し先生に用事があるので窺ってもよろしいでしょうか? 今女子寮を出たところです。』
 雪男は眉を顰めてから応答する。
「今は深夜ですから。明日にしてくれませんか?」
『えー……。んと、そういうわけにはいかないんです。今ちょうど校舎の前を通り過ぎてるんです。』
 ちりんちりんと昼間に聞いた自転車のベルが耳に入ってくる。
 雪男は電話をスピーカーにして机の上に置く。そのあと引き出しから銃を取り出して弾を込める。
『今旧寮から近い坂道の下にいます。ここからは自転車だときついので歩いていきます。あと三四分後にはお邪魔できると思います。』
 雪男は二挺とも銃に弾を込めると、コートを羽織り、腰に巻くベルトに備え付けている装備を目で確認する。兄は何も知らぬげに熟睡していた。
『今、旧寮の前につきました。』
「鍵かかってますよ。」
 朴はくすくすと電話の向こうで笑っている。そんなことはまるっと承知だと言わんばかりに。そして雪男に言い返す。
『残念だけど、そんなもんは私には関係ありません。正確に言えば』
 がちゃりと鍵の開く音がする。
『この世界は個人の資質と思い込み如何でどうとでもなることは、先生が一番ご存知でしょう。』
 雪男はドアの前二・五メートルで銃を構える。
『私は今、六○二号室のドアの前にいます。どうせまた鍵が掛かっているということになっているでしょうが、開けて入らせてもらいます。』
 息を詰めて瞬きをしないように目を見開いて、雪男はドアに向かって銃口を向けた。
 電話を掛けてきている少女は、名乗ったとおり朴朔子なのだろう。昼間も散々雪男の視界に割り込んで、まるで今夜こうすることを予告するかのようだった。
 ドアノブが回り静かにそれは開かれる。明かりを消した部屋に光が差し込む。それは朴が手にしている魔剣から発せられる青い炎だった。
「こんばんは。夜分遅くに失礼します。」
 雪男は少女と青い炎という噛み合わない組み合わせに怯んで引き金が引けなかった。朴は雪男が構えている銃を一瞥する。
「はあ……。殺る気満々だね。」
 朴が独り言のように呟いたあと、二人の身体は振動を伴って上方向に引き上げられる。身体が浮き上がっているわけではない。二人が足を着けている床ごと部屋がせりあがり、天井やら建物の上部分は崩壊し、壁も兄が寝ているベッドを残して崩壊していた。六○二号室ごと夜空の空間に浮かび上がる。雪男が外を見渡すと、夜の正十字学園の全景が眼下にあった。虚空の舞台の上に朴と雪男と眠っている燐がいる。そんな状況でも雪男は拳銃を取り落としもせず冷静に朴を見据えていた。
 ここで発砲すれば兄は目を覚まして雪男と朴を咎めるかもしれない。そしてこんな奇天烈な光景を自分に問い詰めるに決まっている。だがここで朴を仕留めなければという思いが引き金を引かせる。
 ぱんっという軽い音と同時に一般人の少女でしかない朴の身体が僅かに動いた。そしてその足元に雪男が放った弾丸が転がっている。背後で燐がううんと唸って寝返りを打つ。雪男はそれにぎょっとするが、朴は何も気にしていないように雪男に近づく。
「お兄さんは起きないよ。先生と一緒に本当に目が覚めるまで。」
 朴には鍵の効力同様、銃弾ですらも無効化出来るようだ。雪男は朴の言葉に一瞬だけ身震いしたが努めて声に出す。
「目が覚める?」
「先生がそういうふうに首をかしげちゃいけないでしょ。ていうか何を今更でしょ。」
 朴は雪男の精神世界における無敵さを誇示している。それから舞台の上の観客席という名の燐が眠っているベッドにに身体を向ける。
「朴さん。貴女は何がしたいんですか? 僕と兄さんを邪魔したいんですか? 降魔剣なんか見せ付けて何の脅しなんですか?」
 朴は淡々と答える。
「いや。この剣はわかりやすいかなと思っての演出なんだけど。嫌がらせにもなるし。ねえ、むかつくでしょ。私みたいな一般人が青い炎使うのって。」
「そうですね。ありえない光景ですね。」
 朴はふふふんと笑う。
「頭のいい先生ならもう分かってると思うけど、ここってまだ先生の精神世界で、先生はまだサルベージされてないわけで、それどころかお兄さんも先生の精神世界に取り込んでしまったわけで。そんで私は第四の刺客としてここに来たわけ。」
 雪男は銃口を再び朴に向ける。
「それはどうも。だけど、どうか僕達のことは見捨ててほっといて欲しい。僕はこの世界で兄さんと生きていくから。僕達の肉体はヴァチカン側で保管なり処分なりすればいい。」
「それってお兄さんも了承してること?」
 雪男は黙ったままで頷きもしない。朴はやっぱりと言いたげににんまりと笑った。
 ぽつんと舞台にに青い炎が照明のように灯る。ただ周りを照らすだけの青い炎が数を増やして舞台を青白く演出する。雪男の嫌いな青い炎が雪男を照らして静かに揺れる。
「現実世界の十二月、先生のお兄さんの認定試験が迫った日。正十字学園は結界の破損から侵入した悪魔によってとある混乱が起きた。その悪魔の魔障によって先生と理事長は昏睡し、ヴァチカンと正十字を繋いでいたルートが全て閉鎖された。空間を操るメフィストフェレスが昏睡状態で一時彼の能力が無効になったため。そのへんは覚えてるっていうか、身に覚えあるよね。」
「覚えてます。僕が理事長に面会していたとき、それが起こりました。」
 朴は小さく頷く。
「それは人間の意識に干渉する悪魔だったらしいけど。」
「正確な特徴は覚えていません。……不意を突かれた上に、理事長を昏睡させるほどの相手でしたから。」
 雪男は歯に物が挟まったような言い方だった。
「まあその辺は学園内でも適当に解釈されてるみたいだよ。いかにメフィストフェレスといえども死角はあったとか、二百年虚無界から離れてたんだから不慮の事態があったとか。」
「そうですか。そんな事も有るかもしれませんね。無いほうが善かったですけど。騎士団にとっても彼にとっても。」
「だけどもう、メフィストフェレスのサルベージには成功したし。」
「え?」
 雪男は朴の言葉に顔色を変える。
「え? も、ないでしょ。理事長の精神世界は君以上に混沌としてとんでもなかったけど、そんな世界でこそ万能になれるタレントも存在し得る。つまり私、なんだけどね。説得するにはちょっと掛かったけど、夢の世界で彼好みの遊びに付き合ってあげたら気が済んだみたい。事件発生後三時間以内にメフィストフェレスのサルベージは成功したよ。彼の精神世界の中の時間経過では一ヶ月くらいは付き合ったっけ。」
 精神世界と現実世界の時間の流れは違うんだよ。君には興味ないだろうけど。一応は説明がてらにと朴は言った。
「理事長をサルベージしてから、私は先生のサルベージを担当するグループに合流したんだ。途中経過はモニタリングさせてもらったけど。」
 雪男は朴の語る状況を頭の中で解析する。メフィストほどの複雑怪奇な精神世界でお遊戯しながらこちらのこともモニタリングしていたと言うのなら、どんだけこの少女の精神は頑強なのだろうと感心した。朴は降魔剣を鞘に仕舞って雪男に手を差し伸べる。
「帰ろうよ。先生。もう気が済んだよね? 先生の望んでた夢の世界、もう十分に味わったよね。お兄さんの本当の気持ちも分かったよね? だからもう、いいよね?」
 雪男は横に首を振る。朴はあまり気の進まないような顔をして雪男を見る。いつもの張り付いたような笑顔が六割がた剥れたような目を雪男に向ける。
「幸せだったんでしょ。この世界で。だったら現実に帰ってもそれを糧に先生なら頑張れる。」
「僕は貴女のような現実主義者とは違う。こんな都合の良すぎる世界を知ってしまった後に、僕が悪魔の自分を肯定し青い炎を使うことに抵抗のない兄を受け入れられるわけがない。僕だって分かってる。この世界で僕を愛してくれた兄さんは、僕が精神世界に取り込んで僕の望むことを言ってくれるように改竄を重ねた兄さんなんだ。」
 だからこの世界から抜け出したくない。抜け出せない。
朴は先生だって以前は現実主義者だったじゃんと心の中で突っ込んだが、この雪男の精神世界のなかでよっぽどそれに溺れているのかと、事態を重く受け止めなおす。朴はこの夢の世界に爪先から頭までどっぷり漬かった雪男を引き上げる言葉を検索する。
「先生はお兄さんを自分が無理やり引きずり込んだって思ってる?」
「思ってますよ。この世界は僕にとって思い通りだったんだから。僕を連れ戻しにきた兄さんを現実世界に一緒に戻ったことにして取り込むのさえ戸惑いはなかった。」
 雪男は遠い目をして微かに笑っているようだった。
「僕は兄さんが悪魔になってから、サタンの落胤という悪魔が兄さんの人格をトレースして身体を乗っ取ったという妄想に時々襲われていた。最初は、それは違う、と思い込みたかったけど。その当時はまだ兄さんは必死にサタンの息子だってこと隠そうとしていたし。要するにあの頃のなんだかんだ言って悪魔の自分を否定してるっぽくも見える兄さんは、なんとか兄さんとして認めることが出来たんだ。でも炎を使うにつれて兄さんは悪魔の自分を肯定しだしたんだ。京都の事件のあとには、それを僕にも求めだした。」
 朴は「うん」「あー」と言葉を濁す。
「そりゃ先生にしてみたら、……だね。」
「貴女のように言ってくれる人ばかりじゃなかった。ていうか、僕の考えのほうが僕の置かれた環境では小数派だった。いや、僕一人だけだった。自己主張が強い癖に外面を気にする僕は、悪魔だけど仲間として兄を肯定する人たちを目の前にして何も言えなかった。悪魔として認められて嬉しそうな兄を否定することも出来なかった。」
「優しいんだよ。先生は。」
「優しくないですよ。僕みたいに最低な人間に救いなんてない。それは僕と同等に最低な貴女なら見透かしているはずだ。」
「ちょっ……。最低って先生……。私のことはそういうふうに思ってたんだ。」
 雪男はうっかり出てしまった本音に少ししまったという顔をしたが、思い直したように微笑を浮かべる。朴もなけなしの大人げを動員してそれ以上は言わない。
「僕は兄さんが祓魔師になるって言い出したとき、馬鹿だと思うと同時に少し嬉しかったんです。僕と同じように兄さんも悪魔を否定する存在になるんだって。兄さんも僕も同じになれるのが嬉しかったんだ。兄弟なのを疑うくらいに噛み合わない兄弟だったから。」
 朴は雪男の告白を聞いているのか聞いていないのか曖昧な感じて、茫洋とした表情で青い炎のステージの中で佇んでいる。心ここに在らずのような様子が朴の最大の凶暴さでもある笑顔の充電でもしているようだった。
「でも結局『同じ』にはなれなかった。僕が銃で悪魔落ちの男と対峙している間にも、兄さんは巨大な悪魔から沢山の人たちの命を守っていた。僕は自分の悪魔の血を否定するけど、兄さんは肯定した。だから兄さんは強くなった。僕の手が届かないところまで。それが忌々しかった。憎らしかった。サタンの落胤が僕の兄さんを食い荒らして、周りの皆に対して僕に先回りして認めさせて成り代わっているようで。」
「君にとって『サタンの落胤』と『兄さん』は別物ってことだったんだね。で、燐君は君にとって全然別物なその二つを、イコールで結んで欲しかったわけだね。」
 呆れ混じりに朴は呟く。雪男の主張を聞いていれば、そんな兄弟間の齟齬によって弟が精神世界に兄を取り込むという病的な事態に発展するのかと、他人事ながら頷けた。
「私にはその食い違いは解決しようがないね。だけど先生はちょっと思い違いをしているよ。」
「何をです?」
 朴は雪男の目の前に人差し指を突き出してちっちと振って見せる。
「この先生の精神世界での先生の兄さんが、先生にとって都合のいい作り物だって言うのは違うと思う。だってこの世界の燐君は君がずっと触れ合ってきた燐君の気持ちや、君が持っている燐君に関する記憶で構成されているから。たぶん本物の燐君とほとんど同じと言ってもいいんじゃない。ねえ、こんな風に考えてみようよ。先生と燐君は望むものが違うけど、お互いに相手の望みが叶って欲しいと思ってるよね?」
 はあ? 雪男は顔をしかめる。朴は無視して畳みかける。
「先生の精神世界で先生の望むことは実現された。延期になって欲しかった祓魔師の認定試験は延期されたまんまだし、燐君は君の言うとおりに勉強に励む日々だし、燐君はそれを幸せだって先生に言ったんじゃない? なら、現実世界に帰って燐君の望む、悪魔だとしても認められる燐君が実現されたとき、先生もそれを喜んであげられるんじゃないかと私は思うよ。」
「それは希望的観測で善意の押し付けみたいですけどね。」
「またそんなふうに斜めに。」
 未来の希望も人の善意も一ミリも信じていない者同士が揶揄し合う光景だった。甘くて美味しいお菓子は身体に毒だからと敢えて苦くて口当たりの悪いものだけを摂取していれば安心できる。雪男は実は朴もそんな人種なのだろうと推測していた。
「貴女が言いたいことは分かります。」
 雪男は脳裏に焼き付いた悪魔としての兄の姿を思い出す。
「そんな希望や善意を現実世界に反映させるには、現実世界に影響力を持たなければいけません。兄さんが馬鹿なりにしようとしていることはそういうことでしょう。ていうか、貴女と話しているのがだんだん嫌になってきました。藤堂ほどではないですが。」
「え? その人知らないよ。私。」
 雪男は数ヶ月前に対峙した男の笑い顔を朴に重ねて不機嫌になる。
「そういえば僕が兄さんに本格的にイライラしだしたのは、あの男がいらんこと言ってきたのがきっかけだったんです。でたらめばっかりなのに百中百本音を突かれたような、あの気持ちの悪さ。さっきまで僕を説得していた貴女の言い草に似ていたような気がします。そして、いつも心の中で何かしら言い訳染みたことを考えている僕自身にも。」
 朴は雪男の率直な言葉に反論は出来るかもしれないが、ここは究極的な雪男のプライベートスペースなので、そのくらいの本音がぽろりどころか、駄々漏れでもしょうがないと思った。
「というわけで。僕や藤堂同様のクズな貴女に説得されているという事実が、僕には耐えられません。降参して現実世界に帰りたいと思います。」
「さっきから私のこと、先生は最低とかクズとか言ってますけど。ちょっと酷くないですか?」
 雪男は無表情に吐き捨てるように言う。
「僕もそうだって言ってますよね。」
 それで失礼な言動が相子になるとは雪男本人も思っていないだろう。しかし雪男は勝手に自分の精神に踏み込んだ他人を拒絶する。朴はやれやれと頭を抱えている。
「同類に説教されているのが嫌っていう意地だけで現実世界に帰って大丈夫なの? 全然誰の言葉にも納得してないのに、そんなんじゃまた同じこと繰り返すんじゃない?」
 朴は顔を上げて皮肉げににこにこしながらそう言った。雪男はそんな挑発には乗らず、かまえていた銃を投げ捨てる。
「兄さんが何にでも肯定的な人間なら、僕はどんなものにも否定的にならなくちゃ気が済まない人間として生まれついていてそれは許されるべきです。」
「まあまあ、そのへんの葛藤は帰ってきてから続きをやればいいと思うよ。」
 はいと朴は降魔剣を差し出す。雪男は眉間に皴を浮かべながら汚いものを見る目でそれに視線を落とす。
「現実世界に本人が自分の意思で帰る場合、それなりの象徴になるアクションを取ってもらわなきゃならないんだ。なんなら私をその剣で切り捨てたらどうかな?」
 朴は雪男に背中を向けてベッドから燐を引きずり降ろしている。燐は昏睡状態なのかと疑うくらいに微動だにしない。その寝顔を雪男は覗き込んで、その寝顔の安らかさ加減に心からの笑みを浮かべた。
「馬鹿だけど本当に愛しい兄なんです。この人は。」
「燐君は馬鹿だけど、先生のことはよく分かってたよ。自分が先生をを連れて帰れなかった場合、私に後は頼むと言ってた。先生の唯一の肉親だけど自分じゃ連れ戻せないって悟ってたとこはあったね。先生と心中してもしょうがないけど、心中しちゃなんにもならないって考えたから私に後を任せた。泣かせるでしょ?」
 朴が言うまでも無く雪男の目には涙が溢れていた。朴は呆れたように溜息をつく。
「自分のことで手一杯のお兄ちゃんを弟が心配させちゃいけないよ。」
「僕も心……配しているから、お互い様、です。」
 雪男は涙声でつかえながら朴に悪態をつく。そしてすらりと降魔剣を抜いた。やはり悪魔を認めたくないという雪男の意志が反映されてか、その切っ先はただただ白く、青い炎の火の粉一つも見えない。
「最後に一つ訊いてもいいですか? フェレス卿が昏睡して、ヴァチカンと日本本部の行き来は一時不通になったわけですが、認定試験の延期はあったんでしょうか?」
「いや部外者の私に言われてもなんだけど、理事長はすぐに私がサルベージしたから復旧にはそんなに時間はかからないんじゃないかな。だから前々から決まっている予定は変更されることはないと思う。」
「そうですか。僕らは怪我の功名というわけにはいきませんか。寧ろ兄さんの数少ない時間を僕が浪費させたってことですか。」
「うん。そういうことだね。」
 朴は燐を無造作に床に寝かせる。
「さあ、遠慮なく斬っちゃってよ。」
「では遠慮なく。」
「……ぐはっ……。」
 雪男は朴を袈裟懸けに切り伏せる。朴はわざとらしく時代劇の悪役のように断末魔の声を吐いたあと、床に寝かせた燐の上にうつ伏せに倒れこむ。倒れた朴は首を雪男に向けて言った。
「じゃあ燐君と先に帰ってるから。」
 そう言うと朴と燐は消えていく。それを見届けたあと、雪男は自分の胸を降魔剣で刺し貫いた。
 
     *   *   *
 
 目を覚ますとそこは静かでも平穏でもない、いつだって不安定で騒がしい世界だった。
「おかえり。」
 雪男が目を覚まして一番最初に目にしたもの。それは憔悴した顔で自分の顔を覗きこむ兄だった。その後ろの横に顔を覆って泣きそうなしえみがいる。
「……ただいま。心配かけてごめんなさい。」
「雪男。」
「雪ちゃん。」
 雪男にとって困難で難関な世界がまた戻ってきた。








元ネタはひぐらし礼のop。雪ちゃんは朴さんのことが嫌いですが朴さんは雪ちゃんのことが好きです。・・・・・・六番目くらいに。
たぶんこのあと現実世界での真相編を書くとは思いますが、こんな理不尽な話の真相にたどり着けた方はご一報がほしいと思う、そんなくされうみねこファンです。
ではエンディングは「解」か「散」にて。

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HN:
柴仲達
性別:
女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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