忍者ブログ

幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

[241]  [240]  [239]  [238]  [237]  [236]  [235]  [234]  [233]  [232]  [231

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


☆「高砂7」勝燐前提今回は雪男の任務話

「あ。兄さん。今現場だから。」
 雪男は心配性な兄からの電話を受けていた。任務時の私用の電話は極力避けて貰いたかったが、そんな建前とは裏腹に兄の声を聞くことで結構その後の頑張りが利くことは雪男は自覚している。折りしも任務のその現場は膠着していた。しかしながら先は見えてきていたところなので心配ないよと電話の向こうの兄に言った。
「いやご飯はちゃんと家で食べるから。勝呂君にもそう言ってよ。仕事帰りの義理の弟を待つ気がないならお先にどうぞってね。」
 雪男は電話を切ると交渉相手のほうに向き直る。
「すみません。兄から電話が掛かってきたので話を中断してしまって。ではまた僕の話を聞いて頂けますか?」
 相手はびくっと身体を震わせる。雪男は取り留めのないこの場所まで来た経緯や、これからの方針を話していたところだった。そして相手の心を和ませるために自分自身の家族のことも引き合いに出してみたりもした。
 そうやってかれこれ六時間。雪男は一人で傍らの悪魔に語りかけていた。
「すみません。僕って馴れ馴れしいですかね。初対面の君に。」
「……」
 悪魔からの言葉での返答はなく、代わりにわずかな身じろぎだとか時折震える動作で意思疎通の真似事が出来ているつもりで、雪男はずっとその悪魔に話しかけている。
 三年前までの悪魔否定一直線だった雪男からは考えられない姿だった。雪男の隣でうずくまっている悪魔は大人しげな印象で、人間に無茶な改造をされた身であることを証明するような気性と外観だった。雪男からしてみても悪魔より人間のほうが業が深いと言われても文句も言えないシチュエーションだった。それほどにその悪魔は攻撃性よりも人間に対する恐怖心が勝っているような態度を雪男にとり続けている。だから雪男は始めはその悪魔に向けていた銃を下ろし、丸腰の状態で親切に優しく接している。
 散々一方的に呼び出されて虐待されていたのだろう。しかもその目的が口に出すのも咎められるようなもので、挙句に廃棄され崩壊寸前の建物の中に逃げ込み隠れていたらしい。通報によってその悪魔を処分しにきたのが雪男だった。
 雪男は思案する。今の雪男はなんだかんだでもう上級の祓魔師になっている。任務としては処分と言われているが、その悪魔の現状を鑑みて特に危険性だとか凶悪性が見られない場合は、それなりに独自の判断で対処する権限を持っている。かつての義父が凶暴化した猫又を使い魔にすることで丸く収めたように。
 一対一で六時間経過していながら交戦状態になっていないのも、その悪魔が見るからに大人しくしかも人間に怯えているらしいという推測がなりたつ。六時間前に初めて対峙したとき、建物の隅でふるふると震えていたその姿は、温和な内面を言葉を解せずとも雪男に伝えていた。
 そして徐々に雪男はその悪魔との距離を縮めて近づき、現在、横に並んで言葉を掛けられるようになった。
「僕には悪魔の兄が、いるんですよ。ですが……昔の僕ときたら悪魔を怖がるあまり何がなんでも悪魔に気を許しちゃいけないと思い込んでいた。そんな狭量な人間だったんです。でもそれからなんやかんやとありましてね。きのこっぽいものとかイカとか……えげつない悪魔や人間とも係わり合いになっていくうちに、あらゆる怖いものに慣れちゃったというか。たぶん僕の中で神経が麻痺しちゃったんでしょうね。そんでその麻痺した結果、その他のことに対しても神経が太くなってストレスも溜まりにくくなったんです。」
 雪男の隣の悪魔は、ずっとふるふると震えていたが、少しその震えを止めて身体を雪男に寄せてきた。そして雪男の身体に腕を絡ませてきた。
「三年前のきのこ事件のときに、掴み合いだのどんぱちだのになった悪魔のおじさんとも、今じゃ仲良く暮らしてますし。本当。昔の僕はって感じです。僕が今お世話になっている場所には普通の人間もたくさんいますが、君にひどいことや意地悪をする人は一人もいませんよ。少しお手伝いにこき使われるかもしれないけど。だけど絶対にひどいことを要求してきませんから。…えーと、何が言いたいかってことなんですけど、つまり僕についてきて、その家で暮らさないかってことなんですけど。君はそんな姿はしているけど、大人しくてちょっと怖がりで、人間そのものを嫌ってなさそうだなって、なんとなくわかるから。」
 雪男の言葉に悪魔は伸ばしていた腕を放して距離を取り、体中をぶるぶると振るわせた。それは悪魔なりの葛藤の表れで、しかしそれは最初のころのような怯え一辺倒ではないということも見て取れた。ひょっとしたら拒否されてしまうかもと雪男は思ったが、とりあえず言葉を続ける。
「その家での僕の部屋は、五十畳あるんですよ。兄とそのパートナーと共同なんですけど、あ、それとさっき言ったおじさんともそこで寝起きしてます。」
 悪魔はなんだそれと言うように怪訝な様子を見せている。雪男はそんな悪魔の愛らしい姿ににっこりと微笑みかける。
「僕の住んでいる家は、実は旅館なんです。とらやって言うんですけど。最近は正十字騎士団の宿泊所だとか会議の場所に指定されることが多くて、その為に使われなくなった宴会場を兄夫婦や僕に割り当ててくれたんです。それであまりに部屋が広いもんだから、偶然再会した因縁のあるおじさんも連れ込んでしまいました。それでもまだ部屋の中に空きがあるので、良かったらうちに来て下さい。あ、言い忘れましたけど、猫もいるんです。猫は、苦手じゃないですよね。」
 悪魔はぱあっと表情を明るくしたように見えた。悪魔は猫が好きなようだ。雪男はいけると思った。
「可愛いんですよ。尻尾が二本あって。猫なんだけど悪魔でもあるんですよ。君と仲良くできるんじゃないかな。うちの兄のパートナーも兄とくっつくぐらいだから、君が悪魔だからと言って邪険には扱わないと思います。というか彼の実母と僕は無二の仲良しですから、きっととらやでも君は歓迎されると思いますよ。」
 悪魔はふるふると震えながら再び雪男に近づき、その身体を絡ませてきた。
「まずは外に出ましょう。」
 悪魔は緩慢な動きで立ち上がって出口へ向かう雪男に続く。身体はまだ雪男に密着させている。やはり少しは今までの人間からの仕打ちを引きずっているのか、今のところ信頼出来るのは雪男だけのようだった。
 出口から建物の外に出て雪男は携帯電話を取り出す。
「ここであなたからの了承を取れれば、騎士団にこの場所を連絡しようと思います。」
 悪魔は控えめな動きでかすかに頷いた。
「よかった。わかってもらえて。」
 悪魔は堰を切ったように雪男にしなだれかかり、より一層その身で雪男の身体に絡みつく。
「大丈夫ですよ。これからは今までのような辛い思いはさせません。」
 
     *   *   *
 
 そして場面は一転してとらやだった。
 完全にして全きまでにとらやの一室の五十畳敷きの部屋だった。その部屋は竜士と燐夫婦のものを一切合財詰め込んでも部屋の五分の一すら埋めることも出来ずにいた。すなわち実際の夫婦の生活スペースは部屋の隅のわずかなところで、完全にその広さを持て余しているのだった。かなりの頻度で明陀宗の主なメンバーが遊びに来るし、挙句の果てには燐の弟が得体の知れない居候を連れてきたりしたので、この京都の旅館の元宴会場は常に修学旅行状態なのだった。
「若先生がおっさん連れてきたんか。俺は志摩廉造といいます。」
 志摩は得意の作り笑顔で新顔のおっさんにへこへことお辞儀をしている。
「僕はまだおの藤堂三郎太です。よろしくねー。」
「あんた。おっさんやと聞いとったのに、えらい若いことありまへん?」
 藤堂は普段は本人曰く気力に溢れていた二十代前半の姿で過ごすことが多かった。
「そいつは悪魔落ちのおっさんやから、外見幾らでも若う出来るんや。」
 竜士は志摩に説明してやった。志摩はくすくす笑っている。その太腿を子猫丸は少し痛いぐらいの力加減で抓った。そして志摩に耳打ちする。
「志摩さん。この人と奥村先生がおるってことは、坊は奥村君と二人きりになれへんってことやないの。幾ら五十畳敷きや言うても、そのへんで坊が不便被っとるのは確かやのに。」
「僕なら別に竜士君と燐君が同じ部屋でエッチしてても気にしないんだけどね。」
 子猫丸は高く掠れた声を上げながら飛びのいた。子猫丸のすぐ傍に藤堂の顔が接近している。
「ふ、不便いうのは……夜の生活とか、そういうのに限って言ったわけではないんですけど。衝立もない部屋やから、あなたが、藤堂さんが気にしないでも、坊は気にするんですわ。僕が勝手に思っとることやけど。」
 そうなの? と藤堂は竜士に視線を向ける。竜士は平然とした居住まいだったが、その胸中は子猫丸もっと言ってやれだった。しかし夜の生活などと恥ずかしいことを口にしたせいで、子猫丸は自分のそれを意図しなかった先程の発言にすら恥じ入ってしまっている。
「え、ええです。気にせんといてください。そうやね。みんな仲ええのが一番やもしれまへん。」
 あーあ。竜士は肩を竦めた。常識人はこうやって非常識人に淘汰されていくのだと実感すると同時に、友達の言葉をあてにしようとした自分を恥じる。自分も碇指令のように自ら補完計画を実行するべきだと思ったか思わなかったか。しかしその碇指令も非常識な人間だった。
 ふと竜士は壁に掛かっている古びた振り子時計を見る。
「九時か。若先生遅いな。」
 夕食は一緒に食べるもんだと誘導するような電話での燐に告げた言い草に振り回されて、志摩と子猫丸にも未だ夕餉を振舞えないでいるので、お茶と煎餅をぼりぼりと齧りながら待っていた。
雪男は何気にかまってちゃんな末っ子体質だった。もし先に夕食を摂っていたとしたら、何時だろうが構わずに内心恨まれてしまうような気がする。そして末っ子を甘やかす長男の燐は十分に一度は玄関とこの部屋の往復を繰り返している。
 しかしそろそろ、それは良くない状況になってきた。間が持たなくなってきている。この間燐と二人で見たがっかり有料アダルトチャンネルも大概制覇してしまったし、子猫丸と志摩は顔を見合わせ始めたし、藤堂は雪男君遅いな浮気でもしているのかなと心の声が肉声になっている。そして嫌な感じにどうにかしてくれとみんなが竜士にプレッシャーを与えてくる。何気に一緒にご飯をおあずけになっているクロも、長時間いた子猫丸の膝の上で居心地悪そうにしていた。
『あかん。あかんわ。』
 雪男が帰ってくる見込みはない。ならばここは一回義弟に恨まれても、夕食を始めてしまうしかない。その前に。
「なあ志摩。お前の家は兄弟多いけど、やっぱり全員揃わんと飯食べたらあかんのかな?」
 志摩は一瞬きょとんとしたが、竜士の問いの核を捉え返答する。
「いや。そんなことありまへんよ。ていうかきちんと家に帰るのは嫁の尻に敷かれとる柔兄くらいで、あとはめいめいに個食の一家になっとるわ。その代わり飯の支度も後片付けも自己責任やけど。」
「そうか。そうやな。ええ大人はそれが常識やな。もう九時やし。みんな明日もあるし。今日は先生には悪いけど、先に俺らは食べるしかなさそうやな。先生は今日は悪いけど一人で食べてもらうしかないなあ。」
 志摩から確認は取れた。あとで雪男に文句を言われたら勿論それを盾にするつもりだ。この時間ならぎりぎりで雪男が夕食に途中参加もあり得る。ならばどう転んでも義弟をないがしろにした義兄という構図は免れる。そこまで理論武装しておいて竜士は燐を呼ぶことにした。
「おーい。り……」
 竜士は襖を開けて燐を呼ぼうと声を上げた。その瞬間、鈍い衝撃が竜士の胴体に襲い掛かる。
 クロが毛を逆立てて背中を丸め襖の向こう側の存在を威嚇する。燐の名前を呼び損ねた竜士は、自分の胸に飛び込んできた燐を受け止めて後ろにこけた。その連鎖で子猫丸が後ろ向きに吹き飛んで志摩の腕に抱きとめられている。ぐったりしているところを見ると失神しているようだ。
「す。すすすすすす、勝呂!」
 後ろを指差しながら燐は血相を変えて竜士にしがみつく。竜士も嫁の背中越しに見える何かに怯みながらも嫁を抱きかかえていた。
「ただいま。」
 のほほんと雪男が言う。
「ただいまや無いやろ若先生!」
 いの一番に志摩が恐怖心の赴くままに大声を上げた。いまや雪男とその同行者は堂々と宴会場の敷居を越え、その中に侵入を果たしていた。
 雪男からすれば、任務先で説得した悪魔を背中におぶって連れてきたつもりだ。そして雪男に頼りきったように悪魔は、雪男の身体に全体重を預けている。その手というか足というか、その無数の触手こそが阿鼻叫喚の地獄絵図を図らずとも描いていた。
「なんや先生っ。そのわいせつ物は! 子猫さん気絶したやん!」
「わいせつ物って。ただの触手じゃないか志摩君。三輪君が気絶したのも別の理由だろうし。失礼だな。それに彼の体表は緑色なんだから、見た目はそんなにいかがわしくないだろ。」
 確かに雪男がおんぶしているつもりのその触手は見た目には優しいモスグリーン。だが、その形状はマニアックな画像によくあるぬめぬめとした触手そのものだった。しかもその動きはやはり性的なそれを連想させるように、雪男の首筋や襟ぐりからその胸元に侵入しており、身体中いたるところに絡み付いてうねうねとくねっている。
「若先生。それなんともないん? どう見てもあんたその、触手におかされとるように見えとんやけど。」
「うーん。彼は怖がりだからこうして心許した相手に絡み付いてないといけないらしいんだ。多分この環境に慣れてきたら僕と離れてても大丈夫だとは思うんだけど。」
「いや! 先生! 服の中に何気に触手入ってきとるやん。そいつどう見ても先生にエッチ仕掛けとるんやないん?」
 志摩は雪男の反応が淡白なことに口角に唾を溜めながら指摘するが、雪男はまるで問題にしていない。
「志摩君。どいて。」
 かつて不死鳥を食らった姿の藤堂が志摩を押しのけ前に出た。
「ふーん? 君も雪男君に拾われたんだ? だけど僕が先輩だからね。後輩には後輩の領分ってのがあるんだよ。とりあえず雪男君から降りて僕に挨拶したらどうかな。」
 触手は雪男からゆっくり離れて、下側の触手で歩行の真似事をしている。藤堂の前に来ると全長(だいたい竜士の身長より少し高いくらい)の半分のところでその身体は前倒しになった。もともと大人しい性格のようなので、藤堂の高飛車な態度にも反発することはなかった。その下手に出た態度でなんとか藤堂も溜飲を下げたようだった。
「本当にもずくは、大人しくてお行儀のいい子だよね。そうだろ。竜士君。」
「いい子だよね。じゃないんやで。ていうかもう名前つけとる。ほんで次はここで飼うって、そういうつもりやろ? 俺はあかん言わんけど、り……燐はどうやろうな。かなりびびっとったし。なあ、燐? お前今回は無理やろ? こんなん?」
「え。よく見たら可愛いなこいつ。」
 燐はあっけらかんともずくの触手を握ってぷにぷにと指でつついている。もずくと名づけられた触手は燐の腕に絡みつき、その短パンの裾から別の触手が服の中に侵入してシャツと短パンの間から出てきている。
「ぎゃあああ!」
 悲鳴を上げたのは竜士のほうである。嫁が触手責めにあっているからだ。
「せ、先生。じょ……条件があるわ。人間の腕に絡みつくくらいは許しても、服の中に入ってくるのは禁止っていうのはどうやろ? あと臍から下はお触り禁止や。そのくらいの躾は一週間までにしてもらわんと、「とらや旅館」としても困るからなあ。」
 雪男はふーんと何回か頷いてみた。
「そうだね。君の要求は妥当だよ。じゃあそのかわり、君は誠心誠意この子を歓迎すると約束してくれる? 触手って言葉も解するみたいだけど、精神感応力もあるらしいから。自分が歓迎されてないと感じると不安がってこうなってしまうみたいなんだ。もずくにも精一杯努力してもらうけど、君の協力も必要だよ。」
 竜士は連れてきたものはどうしようもないと諦めながら、ええですと返す。その間にももずくは燐と雪男の両方に絡みついてうねうねと嬉しそうにくねっていた。
「こらもずく。勝呂君との約束守らなくちゃいけないんだから。」
 うねっ♪ もずくはてへっというように触手のうちの一本を腕のように曲げて自分の頭部にあたるような部分を叩いた。その姿に嫁の燐がうけている。どうせ虎子の了承も得ているのだろう。もう自分が何を言っても無駄でしかない。
 また義弟がとんでもないものを拾ってきたことを了承せざるを得ない竜士だった。
 



初の触手ねたでした。

拍手[1回]

PR

☆「続・super scription of data」中篇⑤ 燐雪R18 | HOME | ☆「yatsuhashi justice」勝呂+出雲 ギャグ 白鳥と朴もいるよ

-Comment-

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

フリーエリア

最新コメント

[08/16 木音]
[07/16 木音]
[07/09 木音]
[06/06 さくむ]
[06/04 ニルグス]

最新トラックバック

プロフィール

HN:
柴仲達
性別:
女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

忍者アド

忍者アド

フリーエリア


忍者ブログ [PR]
template by repe