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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆ss「アラベスク後編」 志摩燐 未来捏造

注意。何故か子どもが生まれてます。










「お父さーん。」
「パパー。」
 ちゃぶ台の前で新聞を読んでいる若い父親に、まだまだ幼い男の子の双子が駆け寄ってくる。二人とも母親似の黒髪に青い瞳の気の強そうな顔をしている。若い父親・志摩廉造の向かい側で、十五歳のころより顔の彫が深くなった僧形の勝呂竜士が頬杖をついていた。
「なんか信じられへんな。」
「燐はアレやから子ども産めたんよ。かわええと思わん?」
「アレやからかあ。ほんまや。男同士で生まれたとは思えんほどかわええなあ。」
 皮肉げな口調とは裏腹に勝呂の目は細められている。
「午後からしえみも出雲も来るらしいわ。」
 志摩は頭を抱える。今日はさぞかし皮肉を浴びせられる日らしい。子猫丸は燐と一緒に買い物に出ている。
 双子は二人の背後をぐるぐると回っている。いつもは来ないお客さんが珍しいのか、きゃっきゃと高い声ではしゃいでいる。
「こら。るん、らん。お前らお客さんおるのに失礼やろ。」
「るん。らん。お前らが、れんとりんだからか?」
「ろんもそのうち作るがな。」
「お前はアレ以上にアレや。」
 その間にも双子は二人の背後から離れない。しかも不思議そうな顔をし始めている。とうとう、るんが口を開いた。
「お父さんもおじさんも、ない。」
「何がや。」
 勝呂の問いに、らんが答える。
「しっぽがない。」
 どう答えたものかと悩む。しかしこれもいい機会かもしれないと思い、志摩は無邪気そうに自分を見つめている子ども達に向かって真顔を見せた。
「お母さんは悪魔やから、しっぽがあるんや。」
「おい。人が気を遣ってアレいうて伏せとったのに。」
 勝呂の声に双子はびくりと反応する。勝呂は慌ててごめんと謝った。
「坊。いつかは言わなあかんことやろ。」
「いつかが早すぎるわ!」
「まあそれはおいといて。」
「おくな!」
「坊。燐はな、それを教えて貰うのが遅かったから苦労したんや。早いに越したことはないんや。」
 そこまで開き直られてしまえば、勝呂も他人の家庭に口は出せない。双子達は見た目は母親似なのだが、中身は悪魔である燐の気の強さと攻撃性、が緩めの性格の志摩で中和されたのか、どことなくのんびりとした雰囲気を漂わせている。幼少時の荒んだ燐のようになる気配はない。それでも悪魔の血統はこの穏やかな子ども達にも受け継がれている。時折、子ども達の身体からちらちらと青い炎が見えていることもある。
「まあええわ。お前の教育方針に今日のところは目をつむったる。」
「奥村先生には内緒な。……るんらん。お母さんが悪魔ってことはやな、お前らもちょびっと悪魔なんやで。」
「お父さんも悪魔?」
「お父さんはちゃう。」
 新聞を側に置くと、志摩は双子のるんとらんを膝に乗せて語り始める。
「これは遠い昔のお話や。」
「まだ五年前や。」
 すかさず勝呂が突っ込んだ。構わずに志摩は続ける。
「お母さんとお父さんは同じ学校の生徒やったんや。お母さんはぶっちゃけ悪魔やったから、それを知ったお父さんは、お母さんがこわあなって一時は避けとったんやけど。お母さんのほうがほっとかんでなあ。思い出しても、あの頃からお父さんは愛されとったんや。」
「いやあいつ。他のやつらにも同じようにしてたぞ。」
「いろいろごたごたがあったんやけどな。ある日、お父さんは口が滑って言ってしまったんや。」
 
『なあ、燐。俺ら結婚せん?』
 燐は牛乳を噴出す。気管に入ってしまったのか、げほげほと咳き込んだ。
『お前はめんどくさいのが嫌だったんじゃ。友達はともかく、結婚したらお前、俺の旦那だぞ? ますます面倒なことになるんだぞ?』
 燐は口では志摩を諫めている。しかしその目は何かの期待に輝いていた。
『俺、なんかもう耐えられんのや。味方の正十字騎士団の連中も、敵のサタンも、お前の身体目当てやろ。いっつもこっつもどこでもなんぼでも、そんな目で見られとるお前が本当に可哀想で。それに俺もお前がそんな目で見られるのが嫌なんや。』
 志摩の言う身体目当てとは対サタンの兵器だということを言っているのだろう。サタン側からすれば物質界攻略の鍵としての肉体。しかし志摩の言葉はかなりいやらしい意味で聞こえる。
「俺はお前をどちらにも渡したくないんや。祓魔師になるんでも、これだけははっきりさせときたい。なあ、燐。結婚言うのはな、神様に対する誓いでもあるんや。お前が俺のプロポーズを受け入れることによって、その誓いはお前を守る盾になるんやないかと俺は思う。」
 無茶苦茶な理論だが、そんなことは問題じゃない。燐はもともと結婚願望が無意識的に強かった。エロ本に関心があったのは、夫婦生活に対する憧れがあったから。そして料理への傾倒も幸せな家庭への願望の投影でもあった。
 それはあとから考えて分かったことであって、志摩がそれを全て計算してやったわけじゃない。とにかく口約束でも、今の燐には励ましになるかと思って口にしたプロポーズだった。
 
「で。それを奥村が真に受けて、お前らそれからすぐに結婚したんやったな。誰にも内緒で。そんで熱海に新婚旅行に二人で行ったそうやな。その後、奥村先生がそれを知ってあっさり悪魔堕ちしよったんや。」
 当時を苦々しく勝呂は思い返している。
「そうなんや。旅行がお終いの頃に子猫さんに連絡取ったら、今帰ってきたらあかん言われて。休職中のネイガウス先生に正十字騎士団の熱海支部に閉じ込められて。そんときに出来たのが、るんとらん――。」
 勝呂の釈杖が志摩の後頭部にヒットする。
「おまえなあ。騎士団支部で何さらしとったんや。」
「そやかて坊。半年くらいなんも出来んと、じっとせい言われたら。やることは一つしかあらんやろ。」
 痛いと泣き声を上げる父親の頭をるんとらんが交互に撫でている。
「ほんでな、ほとぼり冷ましとったんやけど。半年たったら理事長にもう帰ってきてもええよと言われて帰ってきたら、奥村先生は牢屋に繋がれとって。そんとき初めて俺らがいなくなったあとの町の様子を教えて貰えたんや。なんや理事長が全部単独で終わらせた言うて。俺心の中で、燐の兵器化計画意味無かったやんと突っ込んだで。」
「それは俺も同感やった。」
「そんとき、燐のおなかはちょっと大きくなっとたから、奥村先生えらい泣きよったけど、それでも俺らのこと許してくれたんや。騎士団の人らもそんな奥村先生は危険やないとみなして、位はちょっと下げるくらいで許してくれはって釈放されたし。つまり、めでたしめでたし言うことや。」
 父親の長い告白が終わったが、るんとらんはとっくにそんな話は聞いていなかった。しかしそれでもいい。
「今はこうやって普通のアパートで親子揃って暮らせるんやからなあ。」
 しみじみと志摩は幸せそうに言うが、まだ生々しい五年前のことを鮮明に記憶している勝呂は、自分の記憶力を呪った。あのときの雪男の恐ろしさは今でも骨身に染みて、時々夢に見て跳ね起きることもある。だが目の前のこの男はそんなことは露知らず、子作りをしていたわけだ。そこで生まれたのがるんとらん。悪魔の炎は受け継いでいるが、愛らしい双子。母親の孤独と不幸を受け継ぐことなく幸せに育っている。
 それにしてもと思う。
「お前ばっかり幸せになりよって。えげつないなあ。」
「そうでもないんよ。坊。」
「?」
「この子らなあ。」
 急に深刻そうになった志摩に勝呂は心配になる。
「どうしたんや。この子らなんかあるんか? もしかしてサタンからの干渉があったんか?」
 志摩はきょとんとしてなにそれと問い返す。
「この子らなあ。お父ちゃんがこれだけ京都弁喋っとるのに、全然真似して喋ってくれへんのや。哀しいやろ。」
「阿呆!」
 



大真面目にアホ後編でした。アラベスクだけ別世界ですのであしからず。また真面目にシリアスに戻ります

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HN:
柴仲達
性別:
女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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