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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆☆リクエスト企画ss「フランキーズファーストアフェア」伊雑

ぷりんさんのリクエストでオフ本「恋愛サーキュレーション3」で書かれなかった、伊雑の一夜のことです。





 

「自分の家に入るのに、なんだか曲者になった気分だねえ。」
 雑渡は滅多に帰らない自宅の敷居を跨ぎかけたところで、そう言って伊作に笑いかけた。伊作もそうですねと返したが、ふとこれは失礼な返答だったかもしれないと思い返して、すみませんと小声で言った。
「気にしないでよ。照れ隠しなんだから。」
 二人が今現在いるのは、雑渡の滅多に帰らない持ち家の中。伊作は雑渡の後ろについてきている。前かがみのままで。
「本当に僕が貴方の自宅までついてくる日が来るなんて、今まで思ったこともありませんでしたよ。」
「僕も思わなかったよ。」
 昼間の伊作を思い返すと、今の状況が雑渡の頭で作り出した都合のいい幻想じみている。今まで上辺だけの優しさで慇懃ではあるけど、いつも何処かしら冷淡に雑渡に接していた伊作だったのに。今自分の後ろにいる伊作は、化けの皮が剥がれたと言っては失礼だけど、男丸出しの性欲丸出しの、どこにでもいるような十五歳だった。夜目を透かして見る雑渡の目には、そこらの盛りのついた犬のようにはあはあと小刻みに呼吸を繰り返し、目もどことなく虚ろな様子の伊作が映っている。
「大丈夫?」
「あの、もう……大分切羽詰っています。出来れば早く寝室に案内して頂けますか?」
 伊作は大分焦れてきているようだ。しかし雑渡はまだ心の整理がついていない。
 正直、雑渡は戸惑っている。今まで自分が伊作に対してイメージしていたのは、優しくて綺麗で可愛くて、清純で清潔で。まるで今の伊作と真逆なのだ。戸惑わないほうがどうかしている。大人はいまいち自分の認めがたい事実に対して柔軟じゃないのだ。
 伊作の自分に対する態度も百八十度転換した事情も、ちゃんと自分の脳内で捉えているつもりだが、それを本当に受け入れたとは限らない。ただ、おぼろげながらに想像出来ることは――。極限の状態で取り乱した自分に対して、伊作は同情し、その同情によって今の状況が作り出されたのではないか。十五歳が思い悩む程度の加害者意識がそうさせたとも思える。
自分が傷つけた人間に対して、伊作は何も思わないはずはない。それとも、傷ついて血を流している雑渡の心に、治療を施さなければならないと、戦場での習性と同じ感覚でいるのではないか? 
散々謝られて、宥められて、償いの証のように身体を触ってくれた。でもまだ好きだって言われてない。雑渡に対して罪滅ぼしのつもりで、つまりお情けで欲情した振りをされているのかもしれない。
「伊作君? 一つ訊いてもいい?」
 この子は綺麗でも清純でもない、ただの十五歳だ。小細工しなくても嘘はすぐにばれる。
「……なんでしょうか?」
 雑渡は伊作には見えている片目を一回閉じた。
「君、本当に僕のこと抱けるの?」
「うっ……。」
 伊作は硬直する。雑渡は当然の反応だと思った。しかし次の瞬間に伊作の身体が痙攣したかと思うと、その場にへたりこんでしまった。そこまで突き詰めるような言い方をした覚えはないのにと雑渡は思った。でもこれで思い直して回れ右するきっかけは作ってやった。
「やっぱり。ちょっと無理してた? こんな爛れた火傷だらけのおじさん相手に無理して欲情することないんだよ。」
 伊作はぶんぶんと首を振る。そして口を開いた。
「無理は……してましたけど。ああもうっ、なんですか。貴方のさっきの台詞で僕臨界点越えたんですけど。どうしてくれるんですか。今すっげえ恥ずかしい状態なんですけど。火傷? 火傷がどうかしましたか? さっきなんか言ってましたけど、なんすかそれ? ここまでずっと勃起したまま山道を歩かされて、ああもうちょっとだなって思ってたら、いきなり自分のことが抱ける? ですって。どんな萌え台詞なんですかそれ。そんだけで無駄に一発放出した僕はなんですか。もう責任取って下さいよ!」
 随分と聞き苦しい恨み言だった。雑渡は十五歳の思考回路にあっけに取られるが、なんとか理解する。
「そっか、関係ないのか。」
 却って火傷と年齢を引き合いに出した、自分の問いかけも子どもじみて思える。
 そこにあったのは悟りに近い優しい感情だった。今まで散々、ままならない伊作の感情に悩んできたのに。目の前の男はあっさり自分に対して欲情するまでになったらしい。しかもたった半日の間に。雑渡も自分なりに考えることはあったけど、伊作のそれは劇的過ぎる。
「しょうがないね。伊作君は。」
「もうそれはいいですから。早く布団に行きましょうよ。」
「はいはい。」
 本当にぐだぐだ。綺麗じゃない。ある意味初々しいのだけど、なんか違う。でも嫌じゃない。なんだろう。この気持ち。
 これ以上、伊作に生殺しにさせたままでは忍びない。自室の戸を開けると、後ろからせっついてくる伊作をなんとか宥めて布団を敷いていると、後ろからいきなり伊作が抱き着いてきた。
「薄荷の匂いがします……。」
「君は……。その――。」
 そこから先を言うのがなんとなく躊躇われる。伊作の下着と袴に付着しているものの匂いが、雑渡の鼻を掠める。屈みこんでいたので、抱きつかれると言うよりは、動物の交尾のように上に乗られていると言ったほうが合っている。これはやばい。
「伊作君。落ち着こうよ……。」
「はい……。」
 雑渡が危惧するより伊作は冷静だった。それでも、いきなり突っ込まれたのでは堪ったもんじゃない。その辺の雑渡の危機感は理解して欲しかった。
でもなんとなく刺激的で良いかもと思ってしまう。もう駄目だ。雑渡までなんかふわふわしたものに乗せられている。
「雑渡さん。服脱がしてもいいですか? ――全部。僕の手で脱がしちゃっていいですか?」
「自分で脱ぐのじゃ駄目?」
 雑渡が自分の襟元に手を掛けると、その手の上に伊作が手を重ねてきた。
「駄目です。是非僕にやらせてください。」
 なんの拘りかと思った。が、大人としてここは伊作の望みを叶えてやろう。さっきまでお預けが長かったのだから。
「良いよ。好きにして。」
 雑渡は自分で言ってみて途端に熱が出たような気がした。
 



本番は書きませんでしたが、初々しいと素直に言えないような二人です。雑渡さんはやっぱり伊作の気持ちを疑ってました。でもここで確定しました。伊作の色ボケが。
リクエスト有難う御座いました! 今後もよろしくお願いします。

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柴仲達
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女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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