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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆☆リクエスト企画「ロンド2」 勝燐 燐女体化

Nさんのリクエストで「ロンドの続き もしくは 勝燐♀(←雪男)シリアス」です。大変遅れましてすみませんでした。しかもちょっと尻切れトンボっぽい終わりですが、楽しんでいただければ幸いです。雪男のシスコンっぷりを堪能してください。そしてもどかしい勝呂をあたたかい目で見守ってください。ではでは。




 古いのか古めかしているのか分からない薄暗い廊下で、勝呂の三メートル前を歩く少女がいた。スカートからは長い尻尾が覗いている。しかし少女はそれを後ろめたそうにしないし、隠そうともしていなかった。尻尾を見ている勝呂も、それに動揺することも恐怖することもなかった。
 
『お前。杜山さんや神木に自分からサタンの娘や言うて、話したんか。』
『だって、勝呂が。俺がサタンの娘だって、俺の口から聞きたかったって言ったろ?』
『俺は誰にも言わんつもりやった。』
『え? そうなんだ……。うーん、でも。俺みたいな奴に仲良くしてくれるあいつらには、勝呂が言ったとおり、俺の口から言ったほうがいいって思ったんだ。』
『お前みたいなって、そんな……』
 
 その時の燐の言葉を聞いて、勝呂は絶句した。自分としてはやりきれなさに言った言葉だったのに、そこまで思いつめられているとは。しかし臆病で建前だらけの自分と違って最初は燐に対してどう接していいか分からないようだったしえみも、二三日すれば少々顔を引きつらせながら燐に声をかけた。神木出雲などは、しょっぱなからそんなことは、大したことないと断言までした。祓魔塾の教室のど真ん中で、わざと声を張り上げて勝呂ら男連中に当て付けるかのように、臆病者は嫌いだとまで宣言した。
『俺は別に奥村がサタンの娘やからって、びびっとるわけやないわ!』
 いや、間違いなく、心の中ではびびっていた。あのあと雪男が喧嘩の仲裁に入らなかったら、どう収拾をつけるべきか自分でも分からなかっただろう。そんなことがあった日の晩が今夜だった。
「びびってないって、言ってくれてありがとう。」
 誰もいない廊下で燐は勝呂に振り返った。後ろで尻尾が揺れている。雪男から燐がサタンの娘だと知らされたあと、ただ自分は燐を責めるようなことしか言わなかったのに。そんな燐を受け入れたしえみと出雲そして、塾をやめたはずの一般人の朴の変わりない友情のお陰で、燐はもう自分の秘密を隠す気がなくなったらしい。堂々とありのままの自分を晒している。それがなんだか、言いようのない神秘的な雰囲気を纏わせていた。月明かりのせいもあるんだろうか?
「杜山さんも、神木も凄いなあ。」
 勝呂は呟いた。
「うん。勝呂の言葉のお陰。」
「いや。女子連中の凄さは俺には関係あらへんし。」
 燐はそうじゃないんだよなと勿体ぶりながら言う。
「しえみが言ってたんだけどさあ。後から大変なことが起きて、そのどさくさで知ってしまうより、燐の口から聞いて知った今のほうが断然良かったって。本当に友達なんだって思えて良かったって。そう言ってた。出雲は、あんたの有り余る欠点に比べたらサタンの娘ってことぐらい大したことないわよだって。朴も俺の中身が総入れ替えするわけじゃないから、全然構わないって。でも俺って、勝呂にああ言われなくちゃ、雪男やメフィストの言われるまま秘密にしてたと思う。そんで。ばれたとき、もっとみんなと気まずい思いをしたんじゃねえかな。ほんと。勝呂のお陰。」
 何を言うんやこいつはと、勝呂は思わず燐から目を逸らす。その言葉こそ臆病な勝呂の心を救ってくれているのに。勝呂の言葉を、晒すのが怖い秘密を打ち明ける勇気に変えたのは、純粋に燐の力なのに。本当に女はたくましい。
「燐……。」
 勝呂は大股で三メートルの距離を一メートル以内までに縮める。勝呂の言葉を勇気に変えた燐のようにならなくちゃいけないと思ったから。
「お前はアレから、俺のことどう思ってる?」
 燐の前に立った勝呂を燐は上目遣いで問いかけた。勝呂はすぐには返事が出来なかった。
「あいつらみたいに俺のこと、受け止めてくれるなんて甘いこと考えてるわけじゃないけど。」
「なんでいきなり他人行儀っぽくなるんや。」
「じゃあ、友達って思ってていい?」
 燐はスカートのポケットから畳んだ紙を取り出した。それを大事そうに広げる。
「志摩が、女子と違って僕たちは何もなしで友達だと宣言できないからって、こんなの書いてくれたんだ。」
 その紙には、奥村燐の友達リストと銘打たれて署名が複数あった。志摩廉造。三輪子猫丸。宝――。
「あいつまで署名してたんかいっ。」
「うん。勝呂に一番に書いて欲しかったけど、俺勇気出なくて。それで勝呂が最後になったんだ。」
 燐は勝呂に紙を見せびらかしている。
「友達でいいよな。俺、そう思っていいんだよな?」
 勝呂は戸惑った。
「名前、書いてくれる?」
 署名をすれば確実に燐の孤独を癒せるだろう。だけどそうではないんだと、勝呂は下ろした手を硬く握った。
「俺は、それに名前を書けへん。俺はお前のこと普通に友達やと思うてへんから。」
 え? っと小さな声を上げて、燐は目を見開いた。その大きな目がじんわりと潤んでいく。
「やっぱり、俺のこと嫌い。」
「違うわ! 俺は男やぞ。ほんでお前は、女子やろうが。そんならお前のこと、普通に思うとらん言うたら、友達と違うやろ。」
 燐はなかなか繋がらない電話のように、目を泳がせながら勝呂の言葉を理解しようと苦戦している。痺れを切らして勝呂は燐の右手を乱暴に取る。
「ごめん。俺馬鹿だから、勝呂の言ってることまだよく分からない。」
「それ馬鹿やなくて鈍いんやろうが。」
 俺はと勝呂が続けようとした時、黒い影が燐の背後にいて、燐の肩に両手を置いていた。
「奥村さんも勝呂君も夜の校舎に遅くまで留まっているのは、校則違反ですよ。」
 対面の自分の目線の先には、燐の双子の弟・雪男がいた。
「雪男。」
 姉の気まずそうに伏せた顔に対して、雪男はあくまで優しげな笑みを浮かべている。
「姉さん。心配したよ。早く寮に帰らないと。」
 燐を連れて帰ろうとする雪男に、勝呂は食い下がるように言った。
「若先生。もう少しだけ燐と話させてもらえませんか?」
 雪男は勝呂を振り返る。霜が降りたかのような冷たい目だった。
「前にも言ったとおり、姉は悪魔なんです。そんな名前で呼ぶような親密さが許されるような身の上じゃないんです。君なら自重してくれると思ったんですけど、案外一番危険だったようですね。」
「危険? なんやそれ。俺の言おうとしたことが最初から分かっているような言い草やけど。」
「そうです。大体は予想がついています。君がもしその続きを口にしたなら、姉は自分では望んでいない罪を作ることになる。」
「罪ってなんや。」
「人間を誑かす危険な悪魔だと、騎士団に認識されます。」
 勝呂は雪男の影に隠れている燐に目をやった。ふるふると震えて誰かに助けて欲しいけど、雪男がいるからそれを口に出せないようだった。しかし震える口元で燐は雪男に縋るように言った。
「ごめんなさい……。そんなつもりじゃなかった。雪男。ごめんなさい……。俺が全部悪いんだ。」
 弟に泣きながら謝っている燐が、さっき友達に打ち明けて良かったと喜んでいた少女とは同一人物だと勝呂には思えなかった。また泣き顔にさせてしまった。数日前のあのときのように。
 雪男は目の前の泣き顔の少女が本当の燐だと言わんばかりに、優しげな口調で言い聞かせている。
「本当に気をつけてよ。高校生になって初めて友達がたくさん出来てはしゃぐ気持ちも分かるけど、姉さんは悪魔なんだよ。そこの線引きはしっかりしなくちゃ。」
 勝呂は胃袋あたりに怒りがふつふつと煮えるのを感じていた。
 悪魔やから? 友達が出来てはしゃぐのは分かるけど自重しろ? 誰かに異性として好きって言われることが罪になる?
 目の前で雪男は燐を抱き寄せている。
「大丈夫だよ。姉さんには僕がいるから。」
 そして勝呂のほうを再び振り返る。
「君の実家は騎士団に所属していますよね。君には立場があるはずだ。君の実家の再興のためにも、今言おうとした言葉は考え直して欲しい。」
 そして雪男は付け加える。
「それが姉のためにもなるんだ。」
 雪男はつかつかと燐の手を引っ張って廊下の向こうに消えていく。燐は何度か勝呂を振り返るが、雪男に背中をぽんぽんと叩かれる度に前を向かされていた。勝呂は行き場のない言葉と手をどうすることも出来なかった。
 
     *   *   *
 
 寮の自室のドアを開けて、雪男は乱暴に燐の腕を引っ張って部屋に押し込めた。
「もうこれ以上姉さんを、他の男の目に晒すのは危険だ。」
 雪男は燐が大切そうに握っている紙切れを不愉快そうに見ている。この紙に署名した男どもは、あくまで今は友達だと誓約しているようだが、その署名してある誰が第二第三の勝呂になるか分からない。
「雪男。俺本当にそんなつもりはなかったんだ。」
 雪男は燐の肩を掴んで乱暴に揺さぶる。
「そんなふうにしおらしく泣いて見せるから、勘違いした男が引き寄せられるんだよ!」
 雪男は燐が持っている紙切れを破いてしまいたい衝動に駆られて、燐から紙を取り上げる。
「こんなもの……」
「やだ! 雪男!」
 燐は雪男に取り縋って紙を握っている手を両手で握り締めた。雪男はその行動に目を奪われる。もしこの紙を破いてしまったらと嗜虐的な気持ちになったが、それ以上に優しい言葉で甘やかしたくなった。
「……。本当に姉さんは、男心をそそるよ。その健気なところとか、純粋なところとか。」
 雪男は取り上げた忌々しい紙切れを燐の手に握らせてやる。
「勝呂君はその紙に名前を書かないって言ったんだろ。つまりそういうことだよ。」
 雪男はざまあみろと勝呂を嗤ってみる。姉が目の前で紙を胸の前で握りしめている。まるで抱きしめるように。
「姉さん。もう泣かないで。僕がきつく言い過ぎた。姉さんは悪くない。」
 しゃくり上げる燐が雪男を見上げる。
「じゃあ、勝呂も悪くないよな。」
 それには雪男の笑顔が引きつる。しかしここで勝呂が悪いといえば、姉はまた泣き出してしまう。
「あ、ああ。そうだよ。勝呂君も、悪くない。」
 今のままなら二人はずっと罪を犯さないで済むんだと、雪男は姉に言い聞かせる。実は雪男自身に言い聞かせているのかもしれないが、燐は安堵したかのように涙を拭った。
「俺のせいで勝呂が悪いんじゃなくて良かった。」
 本当に純粋で健気でいじらしくて、だから誰にも触れさせたくない。
『三年後なんて悠長なことは言ってられない。』
 一刻も早く燐を誰の目にも届かないところに閉じ込めてしまわなければ。
 雪男の言葉に気を許したのか、凭れ掛かって眠そうにしている姉をベッドに運ぶ。そして手を握って髪を撫でながら寝付かせたあと、雪男は上層部へメールを送った。
 
『至急、網走赴任の辞令を受けたし。』






すみません。すみません。本当に仕事のシフトとかイベントとかで遅れてしまって、すみません。話としては、受けたときから考えていたのですが、書く時間が取れませんでした。これに懲りずにまたリクエストいただけるとうれしいです。リクエストありがとうございました。

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柴仲達
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職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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