幸福雑音
女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。
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☆ss「バラッド」勝燐 デートネタ
「雪男。今日はちゃんとミネラルウォーター買ってきたぞ。」
部屋に帰ってくるなり小さな子どものように弟に勝ち誇る燐。雪男はそんな兄の姿が馬鹿可愛くて仕方なかったが、兄としてはどうなのかと少し目頭が熱くなった。これもサタンの息子という数奇な運命の成せる業か。
そんな弟の胸中を知らず、得意そうな笑みを浮かべて買い物袋からペットボトルを雪男に手渡す。そして自分も椅子に座ると、同じくゴリゴリ君を取り出し齧り始めた。しばらくしてゴリゴリ君が棒だけになると、またおもむろに一本取り出す。やはり自分のものは二本買っていたかと、これも目頭の熱くなる光景だった。
上機嫌でゴリゴリ君を齧る燐の尻ポケットに入れた携帯が鳴る。燐はその着信の名前を見る。
「雪男、俺ちょっと行って来る。」
「どこへ?」
「ど…どこでもいいだろ。」
休日とはいえ、大量に課題があるのは正十字学園のお約束だ。燐は朝から勉強漬けの息抜きだと言って、買い物に出て帰ってきたばかりなのに。
「兄さんは息抜きばかりでちっとも進んでないじゃないか。そんなんで月曜日に間に合うのかい?」
「う、うるさいっ。ちゃんと課題持っていくから、大丈夫だもん。」
そう言って両手にテキストとプリントを抱えて逃げるようにして燐は出て行った。あとに残った雪男の頬には妙な笑みが浮かんでいた。
「兄さんが勉強道具を持っていくということは、相手は勝呂君か。はっ……。」
* * *
燐は中庭に宿題と教科書を抱えて勝呂に駆け寄る。勝呂は両手にテキストを抱えて走る燐を危なっかしそうに見ながら自分から近づく。
「おい。走んなや。そんな本とか抱えて走ってたら、転ぶやろ。ほんま危なっかしいわ。」
「勝呂。待たせたか。」
「待っとらへん。五分経ってないで自分。そんなに急いで来んでもええのに……。」
燐は勝呂に飛びつこうとするが、如何せん両手が塞がっているので直前まで来て足踏み状態である。勝呂は相変わらず馬鹿だなと思いつつも、可愛い奴だと頬が緩めて両手で肩を抱いてやった。燐は嬉しそうに見上げてくる。
「ほんでお前そんな勉強道具抱えとるん?」
え? と燐は声に出す。
「勉強じゃなかったのか?」
「……。」
勝呂としては自覚が無かったが、そういえば二人きりで過ごす時には必ず勉強を教えていた。馬鹿は馬鹿なりにそういうことは学習している。勝呂からの呼び出しイコール、勉強だと結び付けられてしまった。
勝呂はポケットから学校で昼食を買った時の紙袋を取り出すと、燐の手から教科書とプリントを取り上げた。
「とりあえずこれはこん中入れとき。」
そう言って、勝呂は燐の持ってきた勉強道具を仕舞い込む。燐はきょとんとした表情を勝呂に向けた。
「違ったのか?」
「俺もメールに詳しいこと書かんかったのも悪かったけど。俺いつもお前に勉強させよう思っとるわけやないで。」
「それじゃ、今回の呼び出しは。」
燐の顔がぱあっと明るくなる。
「デートいうことになるんかな。」
勝呂は何故か燐から目を逸らしてしまう。視線を戻すと今まで見たこともないような燐の笑顔がそこにあった。
「ええ! 嘘っ。夢みてえ! 勝呂が勉強じゃなくて、デートに俺を誘った!」
「大きな声出すなや! それにいつも勉強させとる鬼みたいに言うな。どうせ課題プリント出来てないんやろ。デート終わったらそれもやるで。」
「それでも嬉しい! 初めてだ。勝呂が勉強せずにデート……。」
ああもうこいつは。勝呂はやけになって頭を掻く。それにしてもこうも染み付かれているとは。まいったものである。勝呂自身は自分をそこまでの堅物だと思っていなかったけど、それは自分に対する甘い評価だったらしい。
「じゃあ……どうする?」
勝呂は少し考え込む。そういえば考えてなかった。
「えーと……今日は普通に甘やかすつもりやたから。もんじゃでも奢ろうか?」
「うんっ。」
「もんじゃ済んだら、帰ってすぐ勉強やで。宿題やるで。」
「わかってる。」
「終わるまで帰さんからな!」
「それでもいい……」
「終わるまで帰さんからな!」
「それでもいい……」
燐は目を輝かせて頷いた。
勝呂と燐が立ち去ったあとに、心配性の弟が木の陰から姿を現した。
「あの兄に勉強するやる気を出させるなんて――。勝呂君……、なんてアメとムチなんだ。」
ワーカーホリックな勝呂君の珍しい休日でした。奥村先生もびっくりです。
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絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
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