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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆ss「ストルネッロ」勝燐 「パドドゥ」の続き

 

「なんや。今日はなんもねだってこんのやな?」
「そ、そうか?」
 勝呂は怪訝そうに燐に顔を近づける。二人は定例の二人きりの勉強会をしている。
今日の燐は一生懸命というか、雑念をまるで踏み倒し踏み潰し踏みにじるように勉強に集中している。勝呂としては先生役冥利に尽きるかもしれないが、どこか釈然としない。いつもなら甘えたそうに膝の上に乗ってくるのに、今日は大人しく机の向かい側に座っている。
「なんかあったんか?」
「なんにもないっ。」
 即答にも程があると思った。これは何かある。
『勝呂に凄く心配されてるよ。どうしよ……。』
 昨日あった雪男による『身体検査』について話せば納得はしてくれるかもしれない。しかしそれを話したら、勝呂との今の関係は終焉を迎えてしまうだろう。燐は頭の中がゆっくりとシェイクされるような気持ち悪さを覚える。
『今までエッチしたいって思ってたのは俺だけど。俺はなんにも知らずに思ってたんだよな。エッチすればもっと勝呂と近くなれるかもって、ふわふわした感じで考えてた。』
 雪男に触られた感触が蘇る。ああいうふうに勝呂にも自分の恥ずかしいところを開いて見られてしまうのだろうか。裸同士になるのは承知の上だったけれど(ここは尻尾のことはとりあえず置いといて)、あの感触を思い出すと身体が竦んでしまう。
 勝呂は、目の前で目を合わさないようにして何やら考え事をしている燐を無言で見つめている。
「燐。こっち来いや。」
 不自然に不自然を重ねない程度に燐はおずおずと席から離れ、勝呂の前に来た。勝呂は燐の手首を掴んで引き寄せる。
「お前の方からねだってこんかったら、なんや俺のほうがキスしとうなったわ。ええやろ?」
 普段なら嬉しい台詞のはずなのに、燐は血の気が引いていく錯覚を覚える。そして反射的に勝呂を跳ね除けようと燐の手の平が勝呂の胸板を押す。
「なんや。嫌なんか?」
「嫌じゃないんだけど、だけど……」
 勝呂の釣り目が燐の視界の中でへたれてくる。
「お前、珍しくは恥ずかしがっとんのか? そないなこと今まで無かったのに。」
「俺だってよく分からないけど、なんだかお前を見てると」
「見てると?」
 燐の頭の中は「うわー」とか「ひゃー」の叫びが反響しながら巡って、他の言葉がなかなか出てこない。
「見てたら、見てたら……」
 心の叫びの反響の渦の中、たった一つの形容詞がやっと口から出てくる。
 
「………怖い。」
「俺の顔が怖いのは今更やろ。」
 
 燐の反応で明らかになったこと。何気に勝呂も混乱しているようだ。
 ふるふると燐は首を振る。その度に勝呂には燐の顔色が失せてきているように見えた。でも勝呂は自分の何が燐を怖がらせているのか分からない。でも燐はそれを自分に話してくれそうにない。
「俺かて何が怖いんか、話して貰えんとどうしようもないんや。ゆっくりでええから。ちゃんと話してみい?」
 こうなっては、なんでもないよで終わらせられない。しかし燐としては話してしまえば全て終わってしまう気がする。というか普通なら全てが終わる。でも勝呂をこんなことで困らせるのは嫌だ。なのにカタカタと奥歯が鳴る。
 勝呂はふうっと長い溜息をつく。わかったと一言呟いて燐に覆いかぶさる。
「お前が何を怖がっとるか、ようわかった。」
 そして燐の唇にゆっくりとキスをした。
「………。」
 唇が離れても燐は放心したままぼーっとしていた。今までの触れればすぐに離れるようなキスではなく、お互いの唇の感触を確かめ合うような長いキスだった。今までのキスがおざなりと言わないけど、なんだかさっきのキスを知ってしまった後では、今までのは子どものごっこ遊び思えてしまう。それほどの本気のキスだった。
「お前が怖いんは、こっから先やろ?」
「あ………。ああ……。」
 やっぱりと勝呂は肩を竦めたと思ったら、いきなり噴出した。
「お前。どっかで男同士のそういうの耳にしたんやろ? 今までお前なんも知らんで俺のこと煽っとったんかい。ほんまアホやな。」
「……勝呂は知ってたのかよ!」
「何気に知っとったわ。けどそれは勉強出来る出来んとは違うで。」
 燐は呆けたように勝呂を見つめる。勝呂は爆笑しないように腹を抱えて笑いを押し込めていた。
「なんか薄々お前はなんも知らんのやないかと思うとったんや。やっぱそうやったんか。」
 すっかり見透かされていたようだった。だから勝呂は今まで燐が軽はずみなことを言って誘っても、それに応えなかった。それは当然の帰結だった。
「ほんで。俺はこれからもキスしかせんけど、それでもええな?」
 勝呂の誠実だけど薄情な問いかけに燐は苦しむ。
「うーん――。それでいい。」
 それでも燐は生殺しな問いかけに、それでもほっとして頷いた。




これだから未通男は。また進展しないフラグが立ちました。だいたい雪男のせいです。

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柴仲達
性別:
女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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