幸福雑音
女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。
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☆☆リクエスト企画ss「サムライハート」
さくむさんのリクエストで、忍たまの伊雑のギャグ。 付き合ってない設定で、伊作の突飛な愛情表現が理解できずに、部下や伊作と仲のいい食満に相談する雑渡さん。 それを聞いた伊作は、回りくどい手はやめ、直球で勝負する事を決意する、です。
ギャグパートが異様に少なくなった上に、なかなか作品が出来上がらなくてすみませんでした。ノリは少年漫画です。タイトルは銀魂のエンディングテーマが元です。
リクエストの決め台詞を何処で使おうかとかなり迷いました。やはり決め台詞は一番後ろに来るものですね。取り組みがいのあるリクエスト有難うございました。
ギャグパートが異様に少なくなった上に、なかなか作品が出来上がらなくてすみませんでした。ノリは少年漫画です。タイトルは銀魂のエンディングテーマが元です。
「僕は彼に嫌われるようなことしたかな?」
食満留三郎は後ろ手に縛られて尋問を受けていた。くぐもった声はタソガレドキ忍者隊のトップ・雑渡のもので、尋問の内容は本当に個人的なのもいいところだった。
タソガレドキ領に課題として侵入した六年生は四人。そして早々と留三郎は捕まり、捕虜になった。しかしこれは、先方にもあらかじめ不確かな情報としてもたらされた実習内容で、自国に不利益をもたらさないと確認が取れれば、それなりの金額を忍術学園に要求して、捕虜にした生徒を帰せばいい。食満留三郎は特に何処の城から受けた依頼ではなく、あくまで課題の範囲内での領国侵犯だと言い切った。そこで尋問が終わるかと思いきや、思い切りプライベートな人間関係の相談事の相手に選ばれてしまったようだ。
「彼って、伊作ですか? あいつ、あんたを嫌ってましたっけ?」
むしろその反対だと留三郎は心中で毒づくが、そんなことをわざわざ知らせてやる義理もないので、おざなりに言うだけだった。
「でも今回の課題選択でわざわざうちの城を選んできたんでしょ。」
それが根拠かと留三郎は合点がいった。明らかに歪んだ好意の裏返しを嫌がらせと取っている。
「たまたま伊作が決定権の回でしたんで。」
やはり真相を教える義理は無いので、留三郎はまたもおざなりに事実だけを言った。
「伊作君に選ばせたらいけないでしょう。」
「そんなこと言わないで下さい。」
雑渡は首を傾げる。留三郎は溜息をつく。十五歳に対してそんな物言いをするから、可燃物に火がついて小火騒ぎになるんだと。
「なんか理由ありなの?」
留三郎は一瞬逡巡する。でも今回は言っても言わなくても同じだとばかりに雑渡に話す。
「いや。今回もっと難易度の低い選択肢もあったんですけど。ぶっちゃけ言いますとタソガレドキは候補にも入ってなかったんですよ。忍たまにはタソガレドキの百人部隊は荷が重過ぎるって。」
百人の忍者集団自体が夢物語じみているのだ。だがそれを実現させた張本人が目の前にいる。その実態を匂わせるだけで敬して遠ざかるだけの理由になる。
「なのにわざわざ僕がいる城を、伊作君は選んだわけ? どうして? やっぱり僕のこと嫌いだから?」
「わかんないですよ。でも、あいつはかなり今回張り切ってましたよ。本当にいつも省エネモードのあいつからは考えられないくらいに。なんだか一人でぶつぶつうわ言を言ってましたし。思いを知って欲しいだの。思い知って欲しいだの。よっぽど今まで溜め込んでたんでしょうね。」
「ええー。」
雑渡は両手で大げさに頭を抱える。ここには雑渡の他に部下が一人いるだけだ。その部下が呟く。
「保健室に入り浸るからじゃないですか……。」
それはただの上司への不満だ。留三郎は心中でツッコむ。しかし部下からのヒントだと思った雑渡は、自分の忍術学園での行いを振り返るように、うんうん唸っている。
「もしかして……」
雑渡は保健室に訪れる度に贈られた伊作の手土産を思い返す。明の皇帝が精力を高めるために用いた丸薬を元にカスタマイズしたという精力剤。伊作が妄想の暴走するままに調合した感度の良くなる薬。その他諸々。それらの材料費が負担になっていたのだろうか。いつも悪いなあとは思いながら、自分自身では使った験しがないので、人にあげたら喜ばれていたよと伝えていた。それが伊作の勘に障ったのだろうか。でもお約束なら自分にくれる薬は、特別に調合した傷薬が妥当なのに、何故シモ関係に集中しているのだろう。
「そこまで僕って枯れてるように見えるかな?」
「オッサン。なんか話が飛躍してねえか? つーか真実に遠くなってねえ?」
もう勝手に迷走しといてくれと留三郎は休止モードに入った。どうせもう今回に限っては自分はリタイアした身なのだから、これ以上このオッサンに付き合う必要はないだろうと、若者特有の乾いた諦めが留三郎を包んでいる。とにかくこのオッサンは確かに伊作の言うとおり、思い知るべきなのだろう。伊作がわざわざ鉄槌を下すなら、それでいいじゃないかと思った。
* * *
「留三郎が捕まったか。百対四、いや二十五対一か。それが今、三十三対一……。」
「なんか仙蔵ぶつぶつ言ってるよね。」
「伊作……。私でなくてもぶつぶつ言いたくなる。卑怯技のドクササコ相手のほうがまだましだ。数的な意味でも――。」
「不運の確率は数の問題じゃないんだよ。どうせ不運な時は不運なんだ。勝率が高い戦いでもボロ負けすることもあるし、勝率が低い時に限って勝てる時もある。」
「まさかと思うが何か勝算でもあるのか?」
「あるわけないだろう。」
「そんなんだったら、それに私達も巻き込まないでくれ。て、言ったって。もう来ちゃったんだから仕方ないが、その代わりお前の目的を聞かせろ。」
「え? 仙蔵に?嫌だ!」
「お前それほどに私のことが嫌いか!」「嫌い。」
「行を跨がずに即答だと!」
伊作の仙蔵に対する反感は、既に悪気の無いほどにナチュラルなものになっていた。仙蔵は頭の回転を上げる。伊作からどうしても訊きたいのだ。
「じゃあこれはペナルティだ。人を巻き込んで、気の狂った難易度の課題を選んだのだから。嫌いな相手にこそ、嫌々今回の動機を喋るべきだ。しかもここだけの話なんかにしないぞ。」
「うーん。嫌いな奴に言われると、挑発されて言っちゃいたくなるよね。」
「じゃあ言え。言ってしまえていうか、お前は素直の裏の裏でしか素直になれないんか。」
「しつこいな……。」
いつものことだがこの男は、嫌いだという言葉の意味を本当に理解しているのだろうか。自分が嫌いな奴には取り繕うことが出来るが、自分を嫌っている奴にここまで食いついてくる、その神経が理解できない。だからますます嫌いになる。
伊作は仙蔵のそんな性分は変えられないと分かってるから、しょうがないと呟く。
「あの人からずっと言われた言葉が、胸に刺さり続けてるんだ。」
「なんだその中二病的な台詞は。」
だから仙蔵には言いたくないんだよと、伊作はぶつくさ言っている。
「仙蔵には分かりっこないんだ。だって仙蔵はそんなこと言われたことないんだから。というか、この先も縁の無い経験なんだろうから。」
「腐るな。お前の打ち明け話に共感出来ないと決まったわけじゃないんだから。というか共感くらいさせろ。それ如何によっては知恵を絞ってやる。」
「僕から嫌われてる癖に。」
何様という口を利く伊作に、しかし仙蔵は会話の先を聞くために黙ることにした。伊作は仙蔵の真摯そうに見える行動に免じて話すことにする。
「じゃあ話すよ。あの人からね――。」
* * *
留三郎が捕まってから一刻が経過した。そろそろこの無謀な作戦も失敗に収束していくだろう。
「ごめん。やっぱ私も無理だった。」
「しゃあねえだろ。むしろ一刻前に一番最初に捕まった俺の立場がねえ。」
体力自慢の小平太を捕まえたところで忍術学園の残りの生徒は二人だった。そして、
雑渡の目の前には部下数人に取り囲まれている一人がいる。留三郎と小平太が城下で捕獲されたのに対して、城壁の中にその一人は入り込んでいた。
「伊作君――。いつも僕が言っていることが、やっぱり本当なんだよ。」
伊作はうな垂れて言う。
「でも僕は努力したんです。あなたに分かって貰う為に――。」
「だって本当のことなんだもん。努力で本来持っている君の資質は変えようもないんだよ。」
「そのようでしたね。頑張ったんですけどね……。」
「あとは、仙蔵君だけだね。」
雑渡が右手を上げるのが合図だった。数人の精鋭中の精鋭が伊作に飛び掛る。それをたった一人の伊作が捌き切れるはずがない。あっというまに両手両足を捕らえられて、そのまま宙吊りの猫車で留三郎と小平太と同じところに運ばれる。手足は拘束されているが、口は塞がれてないので後姿の雑渡に伊作の言葉がぶつけられた。
「僕は無謀な選択で学友を犠牲に貴方に僕を認めさせようとしたんです。わかってもらえなくても構いません。さっき貴方が僕に対して言い切ったことで、貴方の中の僕は変えようが無いとわかりました。」
雑渡は運ばれていく伊作のほうを振り向く。
「でも。まだ諦めてません。これで終わったわけじゃありません。」
雑渡は終わってないという言葉に「なにを?」と問い返したくなる。しかしそれが伊作の強がりだと思うと、後味の悪い残酷な真似になると思って何も言えなかった。
* * *
雑渡はもやもやが消えないまま帰路につく。残ったのは優秀な仙蔵だけだけど、仙蔵だけに既に自分だけしかいない状況に対して、完全撤退するしかないと考えるだろう。
今度の彼らの課題実習は完璧な失敗だった。しかも課題選択した伊作の無謀さが原因の。これで伊作も頭が冷えるだろう。納得のいっていないようなことは言っていたが、巻き沿いにした仲間に責められれば、納得とかなんとかも言っていられない。現実の成果が一番なのだから。
いつも自分が言い聞かせていた言葉の意味を、本当の意味で理解してくれるはずだ。これで分かってくれなきゃ、どうしようもない。
たかだか若い子どもの忍のことで、こんなに頭を悩ませるとは思わなかった。もっと伊作は素直な子どもだと思ってたのに。自分が何に向いているかきちんと理解していると思ってたのに。
つらつら考えていると後ろに気配が立った。それはうっかり漏らしてしまった気配ではなくて、わざと存在を際立たせるような気配の立ち方だった。
「君は忍にむいてないね。……でしたっけ?」
「仙蔵君かい? 僕が孤立無援だと思ってここまでつけて来たわけだね。」
背後に立った人影は黙って雑渡を追い抜いて、雑渡の前方に移動する。
「君はもう帰ったと思ったよ。伊作君達もすぐに学園に返してあげるから、伊作君にはさっき君が言った言葉を、もう一度僕からの最終通告だと伝えておくれよ。」
仙蔵は大きく横に首を振った。
「そんな必要は無いですね。」
「君はもう少し思慮のある男だと思ってたのに。六年の友情に目が眩んだのかな?」
「立花仙蔵は馬鹿がつくくらい友情に熱い男ですよ。どうしようもない学友の、つまらない悩みすら見過ごせないほどに。」
「それ自分で言っちゃ不味くない。」
「不味くないですよ。だって――。」
仙蔵は自分の顔の皮に手を掛ける。そしてその皮と髪を一気に毟り取った。
「それは僕の言葉なんだから!」
雑渡は目を剥く。伊作はさっき部下に取り押さえられたはずだ。今頃はもう学友と同じ牢屋の中。でも伊作は目の前にいる。
「変装してたんだ。二人とも。」
仙蔵の姿は誰も見ていない。そして仙蔵の変装を解いた伊作が目の前にいる。ならば牢屋にいる伊作が誰かと考えれば、答えは自ずと出た。
「どうして、ここまでするんだ? 仙蔵君だって、ここまでする義理は無いだろ? 君だってここまで無理する必要無いだろ? 忍術学園を出ても、忍者に無理になる必要はない。君の学校はそういう学校だよね? 君にはもっと向いている仕事がある。その優しさという取り得を生かせる生き方もある。」
「優しい? 僕がですか? 友情を利用して、貴方に認めてもらうという目的を果たそうとする僕が? むしろそれって、誰よりも忍者らしいでしょうが。何が何でも目的を遂行する。優しいっていうのは、仙蔵に後で褒めてあげてくださいよ。彼はそういうこと言われ慣れてないんですから。」
月の光に浮かんだ伊作の顔が泣き笑いの表情を浮かべている。
「伊作君。僕は君に嫌われてるのかな? だから僕の言葉に反抗して、友達まで巻き込んで。」
まるで不良少年に説教する教師か母親のようだった。伊作に対する思いやりが伝わってくるけど、伊作が欲しいのはそんなものじゃない。
好きだからこそ、認めて欲しいものと認めてくれるところがズレにズレて、ジレンマを抱えている。素直に雑渡の言う通りにしていれば、自分も楽だし雑渡も安心して喜んでくれるだろう。
「僕は貴方と同じところに立ってたいんですよ――。」
だから雑渡の言う無理を通して認められたい。学友を巻き込んだと責められたけど、ここまで来て退いたら、それこそ学友の犠牲が無駄死にになる。既に舞台は整っている。後は伊作がどれだけ雑渡に対して立ち回れるか――。
「善法寺伊作。推して参る!」
雑渡が嫌々ながら苦無を構える。しかし伊作は止まらない。
「覚悟して下さいね。雑渡さん――。」
リクエストの決め台詞を何処で使おうかとかなり迷いました。やはり決め台詞は一番後ろに来るものですね。取り組みがいのあるリクエスト有難うございました。
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忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12
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