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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆「ポケモンデイズ③」後編 主♂N

 シッポウシティのメインストリート。金髪碧眼、メガネの白衣がアタッシュケースを片手に歩いていた。何か考え事をしながら歩いているようだが、それを裏付けるようににたにたと笑ったり反対に眉間に皺を寄せたりしている。街をいく通行人のほとんどが今を起点にして少し前のこととか少し未来のことを考えているというのに、その男は途方もない未来のことを考えていた。そんな途方のない男は名前をアクロマと言った。
「情報によればこの辺りでしょう。」
 男は今考えていることを中止して、彼にとっては比較的近い未来の為の行動に戻ることにした。メインストリートの真ん中に黒山の人だかりが出来ている。中央には何かが行われているはずなのに、アクロマはゆっくりと近づいて人だかりの最後尾で聞こえてくる音だけをキャッチしていた。
「ねえちゃん。ぼくのとっておきいくよ。」
「負けないわよ。」
 幼すぎる幼稚園児の声とキンと響く若い娘の声が聞こえてくる。そしてギャラリーの歓声が響いた。
「エンブオーかえんほうしゃ!」
 アクロマの前の観客が呟く。
「園児のポケモン相手にかえんほうしゃかよ。容赦ねえ。っぱねえ。」
 アクロマも同じような感想を抱く。どうやらここでかなり年齢差のある二人がポケモンバトルでいい勝負をしているらしい。
「ああ! 外れたあ!」
 ギャルの悲鳴が起こると同時に呆れたような観客の嘆息が聞こえてくる。
「あー、やっぱり外れたな。」
「まあ。いつものことだよ。元才媛テイストのトウコちゃんのお約束だよね。」
 アクロマはふむと頷く。元才媛テイストとマッドサイエンティストはなんとなく語感が似ていると。
そして園児の声が響く。
「ヨーテリーたいあたり!」
 ポケモンの気合いを入れた雄叫びと悲鳴のような声が交錯する。
「急所にいったあ!」
 トウコのポケモンは後ろに引っくり返りなかなか起き上がれそうにない。そしてまだ勝負がついていない。
「エンブオー、えっと……」
「ヨーテリーたいあたりもう一回!」
「また急所に当たった? みがわりで耐えてっ。ああ!」
「上手く決まらなかったぞ!」
 ああこりゃトウコは幼稚園児に負けるとアクロマは悟る。さっきからの音声情報でここで行われているポケモンバトル(女子トレーナートウコVS幼稚園児)は、トウコは幼稚園児に負けてしまったらしい。最後の最後で決め技が全て外れ、回避技はうまく決まらず、敵の攻撃は全て急所に当たってしまったようだ。
「トウコ! エンブオー! また次があるぞ!」
 トウコは泣きながらストリートの土を袋に詰めていた。
「また帰ってくるからここに! みんなあ。待っててねっ。」
 うおおおおお!
 観客は叫ぶ。称えられるのは敗者だった。
 アクロマは上空を見上げるとティッシュに包まれた何かがトウコに向かって飛んでいく。
「ポケモンバトルでおひねりですか。他では見られないんでしょうね。」
 アクロマはおひねりは投げない。代わりにアタッシュケースの中から何かの包みを取り出した。
 トウコはにこにこしながらおひねりをかき集め去っていく観客たちに手を振っている。そしてその半分を幼稚園児に渡した。
「ねえちゃん。ぼろいしょうばいしてるね。」
「商売じゃないわよ。みんなの善意よ。駄目な子ほど可愛いっていうでしょ。」
 園児もそうだねと言いながらトウコが差出した賞金をトウコに返した。
「おれもねえちゃんをおうえんするぜ。」
「ありがとう。」
 互いに手を振りながら去っていく園児を見届けたあとトウコはエンブオーに駆け寄る。
「今日もダメだったね。」
「ブオ。」
本当はわざと負けているんじゃないかと思われる負け方を毎回しているのだが、トウコとエンブオーはあくまで本気のバトルだった。いいところまでいくのに最後の最後で全て技を外し、敵の攻撃は急所に当たってしまう。いくらエンブオーがレベルが高いとはいっても、技が決まらなければ意味がない。そして急所に決まったダメージは確実に大幅に体力を削ってしまう。ヨーテリーの初歩的な技である体当たりですらだ。
「エンブオー。それでも応援してもらえるのはいいよね。」
「……」
 エンブオーはそれには頷けなかった。へぼでもいつも本気で頑張っているからトウコは応援の上にお捻りさえももらえる。みんないつかトウコに勝って欲しいと思っている。明日に希望を持って生きているのが人間だから。それを目の前で見せてくれるトウコに、お捻りの形で投資してくれているのだろう。トウコが今までトレーナーを続けられたのは、そんな行きずりの人々の支援があったからなのだ。
 だからエンブオーは思うのだ。自分が勝てるポケモンであれば、自分がそれをトウコにあげられる。勝利を成しえない自分が嫌いだ。何故かわからないけれど、バトルのある瞬間から身体にどろどろに溶けた鉛が身体じゅうに流れ込んで冷えて固まって動けなくなるような感覚に襲われてしまうのだ。そんな感覚を誰にも、トウコにさえも伝えられずに自分はトレーナー戦では毎回負けてしまう。
 今、トウコの手持ちのポケモンはエンブオーたった一匹だ。定期的にトウコも炎タイプに偏るけれどポケモンをゲットするのだが、そのほのポケたちは自分からトウコやエンブオーの前から去ってしまうのだ。今までのエンブオーを除くポケモンたち全部がいなくなってしまった。
 エンブオーは空を見てあいつらはどうしているのかと物思いに耽る。ロコン。ダルマッカ。ヒトモシ。メラルバ。お前らがいてくれたら、もしかしたら勝ててるかもしれない。みんな後ろめたいようにトウコやエンブオーに何も告げず出て行ってしまった。トウコのことは好きなのにやはり色々と不遇な状況が我慢出来なかったのだろうか。
 トウコはどっこらしょとエンブオーに肩を貸してポケモンセンターに行こうねと声を掛ける。こんなふうに気楽に構えているトレーナーは他にはいないだろう。大抵モンスターボールにすぐに戻してそのあとポケモンセンターに連れて行くのが常識なのだから。でもトウコはいつもエンブオーに肩を貸すのだった。
 
「ちょっと待ちなさい。」
 
 トウコとエンブオーの行く手に金髪碧眼眼鏡で白衣のアタッシュケース持ちの男が立ちはだかった。
「先ほどのポケモンバトル、十分堪能させて頂きましたよ。そしてこれがその私の感謝の気持ちの手作り弁当です。」
 あらと言うようなトウコとは裏腹にエンブオーは激しくひいていた。この男とは当然ながら初対面である。お捻りを投げてくるようなトウコファンは幾らでもいるが、弁当を持参してきたのはこの男が始めてだ。白衣姿と手作り弁当のミスマッチさ加減がエンブオーに自分の主を連れて今すぐ逃げろと告げているようだった。
「ありがとうございます!」
 しかしトウコは平然とその弁当を受け取った。
「ブオー!」
 ファンを装った近頃よく聞く悪の組織だったりしたらどうするつもりかとエンブオーはトウコに抗議をしている。しかしトウコはいそいそと弁当箱を開け、アクロマが差出す箸を渡されるままに弁当をはぐはぐと喰った。
「お口に合いますか?」
 アクロマがいじらしいことを言ってきた。エンブオーは薬か何かを盛られてないかと心配しながら、トウコに何か起こったとき対処できる構えでいる。
「美味だわ。このお弁当には人の情けという特別な味付けがされている。原子レベルまで噛みしめれば噛みしめるほど、それまでに起こった化学反応に感動してしまうわ。食によって人は享楽する。そしてそれは作る喜び、食べる喜び、そして食べさせてあげる喜び。私はその喜びごと頂いているのだわ。」
 アクロマは嬉しそうにしていた。
「貴女の噂を聞き、貴女に一目会うために私は貴女の行方を捜していたのです。三日前からこの弁当を携えて。」
 三日前と聞いてエンブオーは思わずトウコから弁当を取り上げた。
「心配しないでください。この弁当箱は科学の粋を集めた、中身が絶対に腐らない弁当箱なのですから。ちなみに私が開発しました。」
「魔法の弁当箱なのね。」
「いえ科学の弁当箱なのです。」
 そんなことあり得るかとエンブオーは地団駄を踏んでいる。しかしトウコは気にせず食べようとしている。本当になんともないらしい。
「貴女のエンブオーは少し考えすぎるきらいがありますね。科学は万能なんですよ。科学者は魔法使いとは違うんです。」
「でも私にとってはどちらも凄い人だけど。」
「一緒くたにされてもいいんです。貴女に認めて貰えるのなら。」
 エンブオーは話についていけないのだが、トウコはひたすら弁当を喰っている。
 弁当箱が空になったところでエンブオーはこれ以上関わり合いになりたくなくて、トウコの両肩を持って回れ右させる。
「おべんとありがとー。」
 トウコも食べるだけ食べるとあっさりとエンブオーとその場を立ち去ろうとしたが、後ろからまたアクロマが声をかけたきた。
「この次は私の手作りカレーを食べてみませんか?」
「ブオーっ。」
 手作り弁当でさえうざいのに、この次には押しかけてカレーを作る気になっているらしい。旅をしているトウコにどうやってどこに押しかける気なのかは分からないが、アクロマの言い方では出来たてを食べさせる気満々は雰囲気が漂っている。
「カレー食べさせてくれるの?」
 エンブオーはいけませんと子どもを諌める母親のように声を荒げた。
「ブオ。ブオっ。」
 エンブオーに引きずられるままのトウコを見ながら、アクロマはアタッシュケースから明らかに既製品ではないライブキャスターを取り出すと、それをおもむろに操作し始める。間髪入れずに電池を補充したばかりのトウコのライブキャスターの着信音が鳴った。
「もしもし。」
「はーい。アクロマです。」
 数メートル後ろのアクロマが画面に映っていた。エンブオーの顔色が蒼くなる。これはかなり粘着質なストーカーなのではないのかと怖気が立つ。トウコは実物のアクロマと画面のアクロマを交互に見てから画面のアクロマに話しかけた。
「番号交換してたっけ?」
「してませんよ。私のライブキャスターは特別製で、貴女のライブキャスターをハッキングさせてもらいました。」
「すっごーい。」
 二人がライブキャスターで話している間にも、エンブオーはトウコを抱えて全力でヤグルマの森に向かって走っていた。
「トウコさん。トウコさん。」
 揺れる画面に向かってトウコがどうしたのと尋ねている。
「私は自称も他称もマッドサイエンティストなんです。だから元才媛テイストの異名を持つ貴女に是非とも会ってみたかったんです。これからもご縁があればいいですね。ていうか強制的にご縁を作らせていただきました。貴女のタウンマップに私が現在身を寄せているある組織の所在地を追加させて頂きました。言うまでもなくハッキングです。是非ともそちらにも遊びにきてください。是非私の手作りカレーを貴女に振る舞いたいんです。ちなみにコーン入りの甘口です。」
 通信はヤグルマの森に入って電波が極端に悪くなったところで途切れた。エンブオーはトウコのバッグからタウンマップを取り出すとある地点に見覚えのないマーカーを見つけた。そのマーカーの場所に近寄ってはいけないと記憶する。
「エンブオー。ポケモンセンターに寄らずにそんなに走ったら駄目だよ。すごいしんどいんじゃない?」
 ポケモンなのに肩で息をしているエンブオーの腕を取って、元来た入口を指差すトウコに対してエンブオーは首を横に振った。今戻ってはまたあのストーカー紛いに出会うか、ライブキャスターでまた通話されかねない。
「エンブオー。私のこと心配してるんだよね。だけどたぶんアクロマさんは大丈夫。普通な人じゃないけど、危ない人じゃなさそうだよ。」
 それはエンブオーにも薄々わかっていた。あの男は多分、他人との適切な距離感を維持するのが下手だけなのかもしれないと。ただ悪意を感じないことと、それを受け入れられるかは別問題だ。トウコは受け入れられるかもしれないが、エンブオーには少し無理な話だった。だってアクロマがトウコを見る目は、自分と似通っている。アクロマはそれを真っ直ぐやりすぎとはいえ表現しているのに対し、エンブオーはそれから目を逸らすことに必死になっている。きっとエンブオーの抵抗はやっかみがほとんどなのかもしれない。
「エンブオー。エンブオーはほいほい初対面の男に釣られてる私を見て、危なっかしいなと思ったと思う。でも私にも何にも考えがないわけじゃないんだよ。あの人はたぶん私たちにとって有益な存在になるんじゃないかな。とにかく能力だけはやけに高そうだったし。」
 エンブオーはトウコの言葉を聞いてぎょっとする。トウコらしくない人を値踏みするような言い方。かつて初対面の自分に対しても色々と能力を推し量るようなことを呟かれたような記憶がある。昔々の少女とポカブの出会い。無機質な言葉は冷たく凍えそうに灰色だった。それを怖いと思ったのだ。
 エンブオーはもう小さかったポカブではない。なのにこの場のトウコを見ていると背筋が寒い。おバカなトウコが急に前触れもなく才媛のトウコに入れ替わってしまったようだ。自分でも意識してないのに体毛が逆立ってそれらが擦れてざわざわと音を立てる。
「なーんちゃって。いざとなったらさっきのようにエンブオーが私抱えて逃げてくれるもん。」
 エンブオーはほっとしてうんうんと頷いた。
「だからね、エンブオーが頼りだからポケモンセンターには回復しに戻ろ。」
トウコはカレー楽しみだなとそれでもアクロマに対して未練たっぷりに呟きながら、エンブオーの腕を引っ張って、シッポウシティへ戻らせるのだった。
 

  •   *   *
 
 きっちり着込んでいたNの服をトウヤはまた律儀に脱がせていた。一回目よりは冷静さが窺えた。それに少しNは安堵していた。
 ベッドの上で立膝になって対面した格好で上半身を裸にされ、ベルトを外したままだったズボンにトウヤの手がかかる。
「いいよ。僕自分で脱ぐから。」
 ズボンを足から引き抜くのは他人に任せるより、自分から脱ぐ方が簡単だとNはトウヤに言ったが、トウヤは大丈夫だと言ってひょいとNの上半身を片手で抱きかかえ、膝を浮かせたNからするするとズボンと下着を脱がせてしまった。
 見た目より力が強いし、器用なトウヤの所作にNはそのままトウヤの肩に顔を埋める。鎖骨の窪みがNの額をちょうどよく受け止めてくれた。
「トウヤ。僕は重たいかな?」
 明らかに面積も体積も小さい相手が明らかに大きな相手を抱きかかえている構図に、Nには少し不可思議な感覚だった。
「特に重くはないよ。ていうか君は見た目より軽いな。」
「そう。だったら……」
 Nはトウヤの身体に体重をかけて完全に抱き着く態勢になった。
 トウヤは立膝から腰をベッドに下し、やはりNを抱きかかえる。まるで恋人同士が抱擁しあうようだった。
「トウヤ。正常位だとなんだか押さえつけられて犯されてるみたいだから、今度は僕が動けるようなやり方がいいんだけど。」
 トウヤは目を泳がせている。
「二回目でそれはちょっと慎みが無いんじゃないのかいN?」
「慎みってなんだよ。君が僕を二回目に誘った時点で君こそ慎みが無いよ。」
 そう言われては立つ瀬がないトウヤなのだった。慎みは受け身に押し付けるものではないのだろうけど、シチュエーション的には主導権を握りたいのがトウヤでもある。
 でもNは構わずトウヤに対して光のない目で不敵に笑った。
「一回目で僕もかなり学習したよ。君にまかせっきりにするのは危険だって。」
「危険って……。優しくしただろ。」
「うん。優しくはしてくれた。だけど動いていたのは君だけだったし、それが僕には惜しいと思った。体勢を変えれば僕も君も好きなように動けるんじゃないかな?」
 流石にNは頭が回ると感心すると同時に、早くもこなれてきている態度に開いた口が塞がらなかった。天才肌の男はどんなことにおいても早熟で時々大人を辟易させるとはこのことだと痛感する。
「ま、まあ……いいけど。経験の少ない君に、ていうか二度目の君がそんなにうまい具合に動けるとは思えないけどな。」
「そのときはそのときでトウヤの好きにしていい。とりあえず君の膝の上に乗る許可をくれよ。」
 そこまで言われてはトウヤも頷くしかない。Nというのは自分で実践しなければ気が済まないたちなのだろう。
「で、どうするんだ? 前向き? 後ろ向き? どっちにくるんだい? どっちにしたって僕じゃなくて君主体で中に入れるようになるから、一回目より大変だと思うよ。」
 Nは少し逡巡する。少し考えてみてからどうにかしてみると呟いて、じゃあ前向きで君と向き合いながらと言った。
「あの例の……なんて言うんだったっけ。」
「ローションかな。なんだったらゼリーもあるけど。」
「じゃあ。さっき使ったローションでいいよ。ゼリーはチェレンのためにとっといてあげれば。」
 トウヤが少しむっとしたような顔をした。二人の間に気まずい緊張がわずかに生まれる。
 Nはローションのキャップを取って中の液体を手に取った。
「これで内側と外側を濡らして滑りやすくすればいいんだよね。そして、ある程度指で馴らしてから君の上に乗ればいいんだよね。」
「自分で出来るのかい?」
 トウヤの意地の悪い笑顔にNも意地悪そうな笑みを返す。
「君こそペニスが硬くないと挿入出来ないんだから、それは大丈夫かな? 大丈夫ならゴムを付けて待機してくれよ。」
 トウヤはいそいそとサイドテーブルを漁ってゴムを準備している。Nもトウヤに言い切った手前覚悟を決めて自分の中に指を入れてみた。
「んっ……。」
 違和感が半端なく襲う。だが一回目にトウヤに入れられていたのだから、ちゃんと広がるはずだとNはローションを継ぎ足してもう一度指を入れて今度は動かしてみた。
「くっ……ん……」
 どうやっても自分のその入り口は硬い感触がなかなか緩んでくれない。トウヤはどうやったんだと思い出そうとしてみる。トウヤはNに対して正面からそういうふうにしてくれた。今、Nは恥ずかしさもあって後ろ手で自分のそこを広げようとしている。
「N。手伝おうか?」
 Nは思わずトウヤを睨みつけた。
「自分でするから……いい。」
 なおも指を濡らしながら自分のそこを弄ってみる。トウヤはそれにほんの少し顔を赤らめながらにやにやしていた。それが余計にNの癪に障った。
 なんとか指の抜き差しが楽になったので、指の本数を増やしてみる。無理矢理その二本の指で中をかき回して、痛さよりもトウヤに対する意地でNは自分の入り口をほぐしていた。半ば涙目になってトウヤの目を結果的に喜ばせる羽目になったとしても。それでもトウヤに対して対等なセックスがしたかった。
「も……もう大丈夫だと思う。その、君のに触れていいよね。」
「どうぞ。随分頑張ってたみたいだね。可愛いよN。」
 Nはトウヤににじり寄ってトウヤの一物をぎゅっと握った。
「触れるなんてもんじゃないな。お手柔らかに頼むよ。」
 もっと優しく扱えと暗に言われた。Nはトウヤのペニスを握って自分の入り口にぴったりと固定する。そしてゆっくりと腰を落とす。
 トウヤもNの不安定な腰つきを両手で支えていた。先端がNの中に入っていくのを見守りながら息が詰まりそうな表情のNに声をかけた。
「N。息を殺しちゃってるよ。ゆっくり吐いて。そう。先っぽは入ったから、あとは体重をかけるだけでいいから。」
 Nははあはあと呼吸を繰り返しながら、トウヤを自分の中に受け入れた。トウヤの首にしがみついて、涙を頬に伝わらせても負けん気が強いような表情を出来るだけ作っている。
「どう、かな? 十分出来てるでしょ?」
「ふっ。ほんとにやっちゃったね。君はほんとにすごいよ。」
「それほどでも。で、動いていいのかな?」
「うん。好きなように動いてみてよ。」
 初めてを終えて二回目なので、Nは相当無理をしているのは誰が見たとしても明らかである。でも今更怖いから動けませんなんて言い訳をNはするわけにはいかないとトウヤのペニスを銜え込んだまま腰を揺らし始めた。中に塗り広げたローションがちゃんとその役目を果たしてくれているのか、揺するごとに粘着質な音を立ててくれる。
「トウヤ。気持ちいい?」
「自分が動くのとちょっと勝手が違うからな。でも…あ……うん。」
 気の無い振りをしているがちゃんとトウヤを反応させられることにNは言い様のない満足感を覚え始める。
「たった二回目の僕相手にそんな反応しちゃっていいのかい?」
「こ、こんなの。まだ、まだだよ。」
「そう? じゃあ、もっと頑張る。」
「え? 無理すんな。」
 トウヤの制止にNは聞く耳を持たない。動きを激しくしてあげればトウヤは面食らったような表情を浮かべて狼狽えるのが愉快でしょうがない。
「そんなに動きまくればいいってもんじゃ。あっ……あ…」
 トウヤはNの実践が二回目だということで高を括っていた。Nはこれまで完遂は出来なかったが、何人もの男をセックス目的に誘っていたという一般人から逸脱した積極性を持つ男だ。しかも学習能力が高い。対象の反応も読み取るのも容易にやってみようと思えばやってしまえる。しかも羞恥心や世間体からくる抵抗感は驚くほど少ないようだ。
「N! N! わかった。わかったから! 僕にも少しは動ける余裕くれよ。」
 Nはにぃっと笑うといいよと動きを止める。
 トウヤはNの腰を引き寄せた。
「僕につかまってろ。」
「うん。今度はトウヤに任せるね。」
「最初から任せてほしかったよ。」
 入り口を解すところから根を上げると思っていたのに。本当に意地っ張りで実行力のある相手だとこうなってしまうのかと、トウヤはどっと疲れたような気分になったが、反してNの中に入っている自身は元気だった。
 トウヤはNを膝に乗せて突き上げるように腰を使った。
「あっ……いやっ。トウ……ヤ。」
 最初の正常位の時より当然ながら深いところまで擦られるせいか、トウヤに主導権を譲った途端に今度はNがトウヤに翻弄される。漏れ出る甘い声にトウヤはお返しとばかりにNがしなかった動きを混ぜてより一層喘がせようとした。
「……やだっあっ。そこは……」
「ここがいいのかい?」
 ある一点に当てるようにトウヤはそこを狙って律動を繰り返す。逃げようとしたNの腰をがっちりと押さえつけた。
Nの絶壁の胸に口で吸いついて赤い痕を残してみる。色白の肌にその赤みが映えて綺麗だった。
「な、なんで君はっ。すぐに噛むのかな!」
 まだ減らず口が叩けたのかとトウヤは呆れ通り越して感心する。
「噛んでないんだけど。」
「歯が当たった……」
「へえ……。本当に噛むっていうのは。」
 今度は肩の肉が比較的ついたところにトウヤはあからさまに歯をむき出しにして歯を当て、少し強めにかぶりついた。
「いっ……たあ……」
 Nは堪えきれずに眉間に皺を寄せる。その表情を確かめるとトウヤはさっき噛んだ場所を舌でぺろぺろと舐めた。Nは痛さから一転した刺激に何かを感じて身をよじらせた。
「君のトモダチは、君への親しみを表すのに噛んだりするんじゃないのかい? 勿論本気じゃないんだろうけど。彼らには君に差出す手はないから、代わりに口とか舌を使ってくるんじゃない。」
「君はポケモン並みなのかい?」
「ポケモンと人間に境がないと言っていた君が言うとすごく奇妙だね。」
「ああいえば…こういう……」
「なごり惜しいけど、そろそろ終わりにしなくちゃ。」
 トウヤはNの腰を掴んでいた手をNの背中に回し、Nの入り口と自分の性器の間に隙間を作る。
「あっ……あっ…」
 Nに首を抱かれながらトウヤはNを後ろに押し倒した。
「やっぱりフィニッシュはこの体勢でいかせてもらうよ。」
「卑怯者っ。」
「なんとでも。途中で満足して僕に主導権を渡すからだよ。」
「君はひどい男だっ。」
 Nは悔しそうにトウヤの下で喘ぐしかない。
「ごめんな。大人は卑怯で、可愛い子を押さえつけて喘がせるのが好きなんだ。最高に可愛いよ。N。」
 Nは諦めたようにトウヤの下で大人しくなる。悔しい気持ちはあったが、一回目とは違って自分を通り越してこの場にいない誰かの名前を胸中で叫んだりはしなかった。ずっとN、N、と呼びかけてくれた。
「トウヤ……す…」
「なんだい? N。」
「……なんでもない。早くイッて。」
 Nが言うまでもなくトウヤはNの中で果てている。Nもトウヤの腹に自分の精液を吐き出した。
「はあ……。」
「同時にイクなんてすごいシンクロ率だね。」
「トウヤ。そんな風に茶化すように言わなければもっと良かったのにね。」
 トウヤのモノがNから引きずり出される。
「さっき、何言いかけたんだい?」
 Nは無意識に言おうとしたことを呑み込んでいる。これを言ってしまえばどうなるかは分かっている。卑怯な大人なんかにわざわざそんなことを告げたくはなかった。
「なんでもないよ。」
「そうか。」
 トウヤは淡泊に答えると今度は一緒にシャワーを浴びようよと、また懲りずに甘い言葉をNに投げかけるのだった。
 

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HN:
柴仲達
性別:
女性
職業:
会社員
趣味:
読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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