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幸福雑音

女性向け二次創作サイト。 イベント参加情報もここに載せています。 オフは忍たま、オンでは青エク中心。

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☆ss「悪魔の兄を弟がエンドにしちゃうぞな腐った話」燐雪

この話は今までの燐受けssをまるで無視した設定になっています。以下注意点
・燐が攻めです。雪男が受けです。燐雪です。
・燐が滅茶苦茶雪男のことが好きです。
・雪男が病んでます。
以上が大丈夫なかたはスクロールでどうぞ。(いっぺんやってみたかった。)
















「いっそ死んでくれ。」
 その瞬間に燐の頭に浮かんだ文字は、巨大な「がーん」であった。奥村燐十五歳。つい先日、自分自身の出生の秘密を知って、そのついでに義父を亡くしたばかりのいたいけな十五歳であった。そして今日から悪魔のくせに祓魔師になるという、なんじゃそりゃな運命を辿るはずだった。
 そこで待っていたのは既に祓魔師になって、自分達の教師だと名乗った弟の雪男。その現実が信じられず、燐は弟と口論になった。その口論の騒ぎは下級の悪魔の群れを呼び寄せ、他の生徒たちと奥村兄弟を分断していた。
 他でもない燐にとって可愛くて可愛くて可愛くて仕方ない(大事なことなので三回言いました)な雪男に、死んでくれと言われた。
 唖然としている燐の前で雪男は、悪魔をぽんぽんと二丁拳銃で打ち抜いている。「あの可愛い雪男ちゃんがっ」と燐は今までの雪男に対して見ていた夢がクラッシュされたような気がした。その感覚が足元を掬う。そしてさらに雪男の口から吐かれた言葉に、燐は自分の耳を疑った。
「いや。いっそのこと、兄さんは僕が殺す。」
 兄さんは僕が殺す。兄さんは僕が殺す。兄さんは僕が――。頭の中でひたすらその言葉がドップラー効果を引き起こしながらリピートされる。
「ちょっと待てよ!」
 燐はその雪男の言葉に反論せずにいられない。燐の言葉はあっさりとスルーされる。今まであんなに兄の言葉に耳を傾けてくれた弟が、手の平を返したように冷淡に言った。
「バカだな、兄さん。どうして祓魔師になりたいなんて言い出したんだ?」
 燐の脳裏に父親の墓前でメフィストに告げられた選択肢を思い出す。あのピエロは、三択どれを選んでも死ぬしかないと言っていた。しかし燐にとっては、ここで死んだら可愛い雪男と二度と会えなくなるじゃねえかという思いで満たされていた。
 とっくにただの弟だなんて思っていない。いつかは一線を踏み外したい。そう思っていたのに。だから、咄嗟に、ハッタリをかますことにした。
『俺をお前たちの仲間にしろ!』
 メフィストは愉快そうに笑った。ハッタリが見破られたかと内心びびったが、とりあえず首の皮一枚繋がった。メフィストは面白いという理由で、燐を正十字学園に迎え入れてくれた。そしてそれは思ってもみなかった、雪男と同じ高校に通うという奇跡だった。最低な身の上にしては、自分は運だけは太いなと思った。
 なのに。なのに、とんだ不運が待っていた。弟が最後の悪魔を打ち落とす。この状況なら生徒一人を誤射、で済むかもしれないなあと雪男はぼそっと言った。
あの可愛い雪男が。身体が弱くていじめられっ子で、だけど頭が良くて気立てが良くて、眼鏡っ子で、チャームポイントは可愛いのか色っぽいのか分からない泣き黒子で、妹属性で、兄ちゃんより背が高いけどウエストは細くて、足の小さい雪男が。
雪男は燐の心を読んだかのように、なんで兄さんは僕のウエストが兄さんより細いって知ってるのと言ってきた。どうやら顔に書いてあったらしい。
 燐はその据わった目に臆してしまう。
「お前にとって俺が生きてることがそんなに嫌なら、今からでも俺、メフィストのとこに行って出頭してこようか? それとも誰にも見つからないように、どっかに行ってのたれ死んだらいいのか?」
「どっちも却下だね。」
 雪男はドライアイスより冷たい声で言った。
「いやあ! その言い方、お兄ちゃんの可愛い雪男ちゃんとちがうぅ!」
 可愛いという言葉に雪男は顔をしかめていた。燐は気を取り直してなおも提案してみる。
「俺はお前と一緒に生きていたいから、祓魔師にでもなんでもなって生き抜いてやるつもりだった。だけどそれは俺の自分勝手だったかもしれない。お前にとっては迷惑でしかなかったかもしれない。だからって、兄貴に、銃口突きつけるなよ。お前がそんなことする必要ないから。」
 雪男は今度は液体酸素より冷たい声で言った。(バナナで釘が打てるようになります。)
「兄さんは何も分かってない。」
「分かってねえのはお前だよ。お前はサタンの息子を殺すつもりかもしれねえけど、それは、実の兄貴を殺すことになるんだぞ。俺はお前にとって、もう兄貴じゃねえのか?」
 燐はもう涙がちょちょ切れている。その涙の粒が一瞬でダイヤモンドダストになりそうな眼差しを雪男は向けてくる。
「なにそれ。先に兄弟だなんて思ってなかったのは、兄さんのほうじゃないか。」
「はうっ。」
 雪男はまるで汚物でも見るような目で燐を見ている。
「バレてたのか――。俺がお前のことをオカズにしてオナってたの。」
「ベッドの下のエロ本のラインナップが、妹か眼鏡っ子か委員長物ばっかりだなと思った時は確信は持てなかったけど。」
「お前いつのまにそんなもん見つけてたんだよ。」
 大好きな弟にそんな恥かしい物を見られていた。死にたい。いやでも、殺されるのだけは勘弁だった。
「その間に僕の写真が挟んであったら、もう疑う以前の問題だよね。」
 雪男は溜息をつく。燐に向けられた銃口がわずかに下を向いた。その隙を燐は見逃さなかった。
「ゆきおおお!」
「うわっ。」
 片方の手は上手く掴めたが、もう片方の銃口が燐の側頭部に押し付けられた。雪男の目は冷静に燐を威嚇してくる。言葉にするまでもないと言うような迷いの無さだった。
ここで弟に向かって手を上げて降伏するべきだろうか? 今弟の身体のうち、片手だけは燐の思い通りになる。しかし思い通りにした途端に自分のドたまがぶち抜かれるのは必至だろう。しかし大人しくしていても自分の頭は鉛弾をめり込ませることになる。
「兄さん。大人しく僕の手を放すんだ。」
「嫌だ。」
 燐は苦々しく笑う。もう雪男と両思いになるなんて可能性はこの人生で、これぽっちも残されてないだろう。人生そのものだって、残りなんかあと数分後にはなくなってしまうかもしれない。嗚呼。いいことなんて何にもない人生だった。それを言い出したら、雪男とのなんやかんや(すごく語弊がある。精精、怪我を手当てしてもらった時に指の股を撫でられたことが凄く気持ち良かったとかそれぐらい。)も否定してしまう。それでも燐は言いたかった。
「撃つなら撃ちゃあいいじゃねえか。でもこの手は放さないからな!」
 青い炎は燐を包み込む。雪男はそれを見て目を見開いた。燃やされると思ったのかもしれない。雪男の怯えた顔を見て燐は、あ、今のナシ、とあっさり炎を引っ込めた。弟のことになると炎のコントロールは完璧だった。
「兄さん放してくれよ。」
「いやあ! どうせ死ぬなら雪男ちゃんの手を握っていたいの!」
「なんでそんなに聞き分けが無いかなあ?」
 自分では命がけの懇願だったのに、雪男にとってはしつこい態度に取られてしまったらしい。それが悲しくて悔しくて、それでも雪男が好きだから。思わず体重を雪男に乗せた。雪男の身体は壁に押し付けられる。その胸倉に燐は顔を埋めた。
「お前が俺に対してどれだけ失望してるのか、兄ちゃんよーく分かった。」
「分かったなら、僕に殺されてくれる?」
「お前、俺がお前のこと好きなのそんなに嫌?」
「いやらしい目で見られるのは嫌だ。」
 なんて潔癖症な弟なんだ。兄ちゃんは知っているのに。雪男ちゃんは兄ちゃんに比べて声変わりも生えてくるのも精通も早かった癖に。兄ちゃんより先に大人になっておいて、自分は全然疚しくないなんて、そんな奇跡みたいな人間がいるかよ。大体いやらしい目なんて言われたけど、それ以上に汚したくないとも思っていたのに。
「また顔に書いてある。何でそんなに性的なことしか頭に無いんだ兄さんは。僕にはそんな低俗なことで消耗する余裕なんてなかったよ。だから普通の男と僕を一緒にしないでくれ。」
 雪男は自分の胸の内を語り始める。すぐに殺すつもりの兄に向かって。
「小さな頃から悪魔が見えていた僕は、そんな世界で生きていくには強くならなくちゃいけないと思って祓魔師になったんだ。辛いこともあったよ。投げ出したくなることもあったよ。でもそんなとき、僕より大変なことになる兄さんを支えなくちゃと思えたら、何故かそんな弱気が吹き飛んだんだ。」
「雪男……。」
 相変わらず雪男の銃口は燐の頭の横に据えられているのに、燐はそんなことも気にならないくらい雪男に見蕩れていた。こんなときなのに相変わらず雪男は可愛い。
「僕は真剣に兄さんのことを思っていたのに、兄さんは頭の中で僕を穢し続けていたんだろ!」
「いや、ちょっと……、魔がさしただけだから。結局アレでちゃんと抜けたわけじゃないし。」
 何回もオカズにしてたけど、それで抜けるとは限らない。しかしそんなことは雪男には関係ない。
「汚らわしいよ。許せないよ。だから兄さん、僕に殺されて?」
 雪男の顔はくしゃくしゃだった。雪男だって頭から燐を汚らわしいと思っているわけじゃない。それでもなんだか自分の決意が、その燐の好意と行為で裏切られたような気がして、どうしようもないのだろう。その裏切りの代償を兄に支払わせるには、あまりにも雪男の持論は自分勝手すぎるところもある。だからこそ代償を支払わせるにも、兄にとって理不尽な形でしか成し遂げられないのだろう。
多感な時期を勉強と努力三昧で過ごしてしまったことが、ものすごい反動で雪男を狂わせて壊してしまったのか。その引き金を引いたのは、何も知らなかった燐の何気なくて浅はかな弟を好きな気持ちだったのか。
それでも、そんな雪男に怯えながら驚きながら命乞いをしながら平伏しながら、燐は暢気にも無神経にも不謹慎にも関わらず、或る言葉が脳裏を掠めて、しかもそれが口から出てしまった。
「雪男。――い。」
「え? なんだって?」
 雪男は銃口を強く押し付けて燐に聞き返してくる。
「いてっ。いてえよ。」
「返答次第じゃ、痛いどころじゃ済まないよ。さっきなんて言った?」
 
「綺麗。」
 
 雪男は腕の長さの分だけ燐から離れた。その雪男の身体を追うように、燐の言葉が雪男にぶつけられる。
「雪男ちゃん、綺麗。っていいました!」
「なんでそうなるんだい!」
 えーだって、と燐は頭を掻きながら言う。
「だって怒ってる雪男ちゃんって綺麗なんだもん。」
「殺されかけてるのに、そんな……暢気なこと考えないで。」
 銃を握る雪男の手がぷるぷると震えている。そしてだんだんとその手は下に下がっていた。
「それってやらしい意味で言ったわけじゃないんだよね?」
「いちいち確認しないと気がすまないのか? つかどんだけ、いやらしいことが嫌いなんだ。」
「綺麗っていうのは、ニュアンスからしてちょっと畏怖の念が込められてるよね。一線引いて観察した上での言葉だよね。」
「そこまで分析しちゃう?」
 雪男は目をつぶって考え込んでいる。次に目を開けたとき、雪男は悪くないと言った。
「うん。悪くない。なんか嬉しい。手放しでずっと可愛い可愛いって言われてた時よりも、断然良い。」
 燐には分からない雪男の心理だった。今まで不機嫌そうだった雪男が、この教室に来て初めての笑顔を見せた。
「今日のところはその言葉で見逃してあげる。」
 燐は自分を指差して雪男に確認してみる。
「え? 俺お前に殺されなくて済むの?」
 雪男は横に首を振った。
「今日だけは、ね。いつかは必ず兄さんを殺すつもりだから。」
 結局殺す気はあるってことかよ。燐は肩を落とす。雪男はごめんね兄さんと言いながら銃をホルスターに戻した。
「そんなにがっかりしないでよ。僕は兄さんが嫌いだから殺したいんじゃないんだ。」
 そんな言葉に慰められるほど、今日傷ついた燐の心が癒されるはずがない。聞かされたくなかった弟の本音も、自分の最低な人生のスパイスなのだろうか。でもこの最低な人生をなるたけ長く雪男と過ごしたいなと思う燐だった。



はい。うちにとってのイレギュラー中のイレギュラー中のイレギュラールートの燐雪でした。雪男は燐のことが好きなんですけど、同じくらい殺したいとも思ってます。攻め燐は鈍いというか、悪魔の癖にライトノベル主人公のような奴なので雪男にかなり振り回されます。結局絶対にエッチなんて出来ないんじゃないかな。
既にこっちの雪男は精神的悪魔落ちをしているようなものなので、色んな意味で開き直っていて、藤堂さん的な悪魔落ちはないと思います。悪魔の甘言より、自分の意思のほうが強い子なので。
以上、言い訳でした。

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柴仲達
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読書、二次創作
自己紹介:
忍たまで「幸福雑音」というサークルで、大阪のイベントに出没しています。
絵描きの竹さんと字書きの柴の二人サークルです。
柴はツイッターもしています。http://twitter.com/#!/hitsugi12

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